さて、前回御紹介したネクサス7ですが、カーナビ以外の主目的は自宅保管中の大量の書籍の自炊化。
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業者に発注するのが簡便ですが、著作権問題が微妙なのと値段が結構する・・・まあ、急ぐ訳では無いのでボチボチ自分でやっています。
せん断機や専用スキャナーがあれば作業は早くなるが、態々購入するほどの事も無いので、プリンター兼スキャナーでページ毎にJPEG化、ワードに並べてPDFに変換・・・アナログ的デジタル化とでも言いましょうか。
まあ、暇な時に海外ドラマを横目に見ながら進めています。
そんな訳で昔の本を引っ張り出して来たので、書評でも書いてみますか。
今回取り上げるのは『秘境釣行記』。
生きていた川と北の奥地の物語。
著者は今野 保氏。
A5サイズ、274ページ。
1991年1月16日 第一刷。
90年代初頭に書店で購入。
定価1800円。
多分、購入直後に読んだだけで20年位放置していました・・・
PDF化してネクサス7に保管。
出張時、電車の中で読み直す。
内容は昭和初期の北海道日高地方の釣行記。
移動手段は馬を使う事もあるが、基本的に徒歩。
米や味噌などの荷物を担いで数日掛けて源流部へ行き、小屋掛けしてヤマメや岩魚を釣る様子が描かれています。
北海道の渓流釣りと言えば、現在ではフライやルアー釣り師の方が多いのではないかと思いますが、餌釣りは当然として竿が1本竿。
当時は継竿って、まだ一般的じゃあ無かったんですな。
ビニールなんかも無くて、雨具は油紙です。
文中に、私も良く足を運んだ日高地方の渓が出て来ます・・・暫らく行っていませんが、今はどうなっているでしょうか?
本のあとがきに、著者が数十年ぶりに日高に釣りに行ってあまりの荒廃ぶりにがっかりするシーンがありますが、わたしが最近渓流釣りに行かない理由の一つは、過去の素晴らし思い出がブチ壊しになるような河川の変貌を眼にする事が増えた為。
私が最初に北海道で渓流釣りをしたのは道南の利別川でした。
当時はまだ美利河ダムは完成しておらず、ダムの工事現場の上には大量のヤマメが生息していました。
スピナーを投げると、ヤマメが何匹も追いかけて来るのが見える。
ここで生まれて初めて野生のヤマメを釣った訳です。
それまでに関東の渓流で釣りをした事はありましたが、当時釣れるのは放流物のアマゴでした。
釣りをされる方は御存じと思いますが、本来アマゴは関西系の渓流魚でヤマメとは別種です。
何故、関東地方でヤマメでは無くアマゴが放流されていたかと言えば、アマゴの方が養殖が容易で放流するのに安く付くから・・・という話を聞きました。
結果として本来ヤマメが生息する渓に無秩序にアマゴが放流されて交雑化。
故 西山徹氏が大学時代の研究がヤマメとアマゴの分布だったと聞いた気がしますが、研究されていた当時から交雑が始まったとか・・・
生態系が破壊される放流魚というと、メディアにはブラックバスしか取り上げられませんが目立たないだけで外来種の放流より余程深刻な問題なのですが。
利別川もダム完成後はすっかりヤマメの姿が消えてしまいました・・・
さて、本に話を戻すと戦時中に中国大陸でイトウを釣る話が興味深い。
あまりの大物が掛ったので馬で引かせたが取り込み出来ず、後日火薬で5匹の巨大魚を捕獲。
一番小さな物で1m60cm、最大は2m80cm、胴周りは2mだったと言う・・・
著者の今野氏は1917年生まれとの事だが、御存命なのだろうか?
本書以外に『羆吼ゆる山』という著書も出されているようだ。
ちなみにこの本を出版しているのは朔風社。
参考リンク:
朔風社WEB
知る人ぞ知る、釣りの本専門出版社。
この手の少数発行書籍こそ、電子化して頂けないでしょうかねぇ?
他にも朔風社の書籍を幾つか持っているので、その内紹介します。
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