2010年03月13日
ABU 1750A
今回紹介するのはABUの1750Aです。
70年代購入。
730101と刻印があるので73年製。
当時のABUのマルチプライヤーリールのラインナップでは最安値、5000番系が4万円位だったと思いますが半分以下の価格で購入できたと思います。
関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C
ABU2500Cが75年に販売されるまでは、ABUで唯一の小型マルチプライヤーリールでした。
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
アンバサダーの入門用として、最初に買われた方も多かったのではないでしょうか?
スウェーデン王室御用達の冠マークは付いていません。
スタードラッグの無いシンプルなハンドル回り。
ダイレクトドライブリールです。
大昔のダイレクトドライブリールだと、キャスティングの時にハンドルが逆転する物が多いと思いますが、こいつはハンドルがフリーになります。
ハンドル中央のカップがスプールのクラッチ。
クラッチを切らなくてもラインを引っ張るとハンドルごとスプールが回転するので、ロッドにルアーをぶら下げて移動する時にはフライリールの様にクリックを掛けておきます。
生き餌を使って置き竿にして、ハンドルをフリーにしてクリックを入れておけば、魚が掛かった時に音で判る仕組みです。
ハンドルが逆回転するのでタナ取りが容易な為、当時はルアー用としてだけでは無く、クロダイの落とし込み釣りでも利用されていました。
軸受部分はボールベアリングでは無く、ただのブッシュ。
レベルワインドがスプールと連動して動くのと、メインギアも共回りするので、あまり回転は良くありません。
赤いボディーが凄く格好が良かったのですが・・・
当時はバス釣りでも高価なプラグは根掛かり怖くて、比較的安価なスプーンを使う事も多かったのですが、こいつは巻き取り速度が遅い。
沈むスプーンは必死で巻き取らないと根掛かりしてしまう事もあり、どうしても忙しい釣りになってしまいます。
間も無く5600Cを購入した事もあり、全く使わなくなってしまったのですが・・・
90年代に入ってから復活!
手首を痛めてから小型軽量の1750Aを思い出して使ってみたら非常に具合が良い。
サミングし易い形状で、あまり回転が軽すぎないスプールは大型のプラグを投げるのに向いている。
ライン無し、実測181g。
カタログ値で2500Cが250g、5600Cが330gなので格段の軽さ。
巻き取りスピードが遅いと言う欠点も、トップでプラグを使う分には全く気にならなかったのですが・・・
例えばポッパーを使う様な場合、岸ギリギリにキャストしたら精々2、3回ポップさせたら後はルアーを回収する為に巻き取る訳ですが、夕刻のワンチャンスに巻き取りスピードが遅いと気が焦る。
私の様に心に余裕の無い人間には向いていないんですかねぇ?
結局他のリールも色々試して現在トップ用リールは2500Cで落ち着いている訳ですが、もう何十年か経過して、現在より更に体力が落ちた場合は再登板の予定・・・?
それではこいつもメンテナンスを兼ねて分解してみましょう。
一応念の為申し述べて置きますが、古い機械(リールやバイク等)は調子が悪くなければ無理に分解する必要はありません。
又、使用する工具はせめてJIS規格準拠の物を使って下さい。
基本的に樹脂パーツにはCRC-556は使わない方が無難です。
まずはハンドルをフリーにするアルミのキャップボタンを外します。
シャフトにネジ込んであるだけなので、ハンドル側から見て反時計回りに指で回します。
内部にはスプリングが押し込んであるので脱落に注意。
ABUの他のマルチプライヤーリールのハンドルは、ナットの緩み防止のプレートが付いているのですが、こいつは緩み防止は何も無し。
まあ、使っていて緩んだ事はありませんが。
10mmのスパナでナットを外します。
社外製の大型ダブルハンドルの装着も可能だと思いますが、ギアやシャフト等に負担が掛かる可能性があります。
多分、大型ハンドルは似合わないと思うけれど。
サイドプレートを外すとこんな感じ。
メインギア周辺。
スプール用とレベルワインド用のギアがハンドルシャフトと一体になったシンプルな構成。
アンバサダーと同様にメカニカルブレーキと遠心ブレーキを装備しています。
遠心ブレーキのドラム側は真鍮製。
遠心ブレーキは小型の物を1個使っています。
ボディーサイズの割には大型のスプール。
センターにスリット入り。
レベルワインドを分解します。
キャスト時レベルワインドはスプールと連動します。
メカニカルブレーキのキャップを外します。
アンバサダーのメカニカルブレーキは燐青銅の板でスプールのシャフト端部を押さえる事で抵抗を与える構造になっていますが、1750Aはラバー付きの樹脂製ブッシュで押すようになっています。
又、フレーム側のネジ部には緩み止めのスリットが入っています。
ベアリングだと空間部分が多いのでオイルを保持する量が多いが、ブッシングだとオイル溜まりが少ないので、ハンドル側のブッシュカバー内部にはフェルトが入っていてオイルを長時間キープする構造になっています。
クリック部分をフレーム内部から見るとこんな感じ。
2500Cと比較すると部品点数が少ないのが良く判ります。
ドラグが無い事や、クラッチ機構が単純な構造になっているので小型軽量、トラブルも少ない。
大分汚れているのでクリーニング。
研磨剤の入っていないケミカルを使用します。
こうやって見比べると2500Cが1750Aの発展型であるのが良く判ります。
シャフトの配置が良く似ています。
スプールの比較。
上の大きな方が1750A、下が2500C。
巾も径も1750Aの方が大きく、サミングし易い形状になっています。
2500Cだとラインの上をサミングしてキャスティングする事になりますが、ラインが引き出されて行くとスプール径が小さくなるので親指で無意識の内に押さえ方を調整している訳ですが、1750Aはスプールの盛り上がったサイドプレートを押さえてサミングするので、ラインのコンディションにコントロールが左右されないと言うメリットはあると思います。
リール全体で大きさを比較すると2500Cの方が大きいんですがね。
もっとも2500Cと比較するとフレームが弱く、こいつもプレートが何度か歪んでいます。
プレートにスプールの擦れ傷が・・・まあ、指でグイッとやれば治るんですが。
最近のリールは高級機種になると回転部分の殆どにボールベアリングが入っていますが、こいつはベアリングは1個も無し・・・それでも普通に釣りが出来る事を考えると10ボールベアリングとか搭載した最新機種は過剰装備?
トップウォーター用のリールならベアリングレスでも構わないと思うので、現在の技術でシンプルな超軽量リールを作って貰えないだろうか?
スプールが大き目でキャスティングし易く、巻き取りスピードが速い奴。
ダイレクトじゃあ無くて、ちゃんとしたドラグ付きの奴をお願いします。
言うまでも無い事ですが、工業製品は新しい物の方が絶対的に性能が優れています。
私は昔からABUを使っているので不自由は感じていませんが、近年の日本製リールしか知らない方には使い勝手が悪いはず。
このブログでは古い道具の紹介もしていますが、私は懐古趣味で古い物を集めている訳ではありません。
基本的に私が購入した当時は現行品や最新型だった物です。
キャリアだけは長いオッサン(私の事)が、しょぼい中古品を見せながら、何処かで聞いたような薀蓄をブログに書いているのを見ると、惑わされて自分も古道具を買ってみようと思う人もいるのではないかと思いますが・・・
前にも似た様な事を書きましたが、特に若い人は古いABUなんて買う予算があったら、現行品、最新型、できればハイエンド商品を良く吟味して購入する事をお勧めします。
いつの間にか何十年も使っていた・・・運が良ければそんな逸品に出会えるはず。
70年代購入。
730101と刻印があるので73年製。
当時のABUのマルチプライヤーリールのラインナップでは最安値、5000番系が4万円位だったと思いますが半分以下の価格で購入できたと思います。
関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C
ABU2500Cが75年に販売されるまでは、ABUで唯一の小型マルチプライヤーリールでした。
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
アンバサダーの入門用として、最初に買われた方も多かったのではないでしょうか?
スウェーデン王室御用達の冠マークは付いていません。
スタードラッグの無いシンプルなハンドル回り。
ダイレクトドライブリールです。
大昔のダイレクトドライブリールだと、キャスティングの時にハンドルが逆転する物が多いと思いますが、こいつはハンドルがフリーになります。
ハンドル中央のカップがスプールのクラッチ。
クラッチを切らなくてもラインを引っ張るとハンドルごとスプールが回転するので、ロッドにルアーをぶら下げて移動する時にはフライリールの様にクリックを掛けておきます。
生き餌を使って置き竿にして、ハンドルをフリーにしてクリックを入れておけば、魚が掛かった時に音で判る仕組みです。
ハンドルが逆回転するのでタナ取りが容易な為、当時はルアー用としてだけでは無く、クロダイの落とし込み釣りでも利用されていました。
軸受部分はボールベアリングでは無く、ただのブッシュ。
レベルワインドがスプールと連動して動くのと、メインギアも共回りするので、あまり回転は良くありません。
赤いボディーが凄く格好が良かったのですが・・・
当時はバス釣りでも高価なプラグは根掛かり怖くて、比較的安価なスプーンを使う事も多かったのですが、こいつは巻き取り速度が遅い。
沈むスプーンは必死で巻き取らないと根掛かりしてしまう事もあり、どうしても忙しい釣りになってしまいます。
間も無く5600Cを購入した事もあり、全く使わなくなってしまったのですが・・・
90年代に入ってから復活!
手首を痛めてから小型軽量の1750Aを思い出して使ってみたら非常に具合が良い。
サミングし易い形状で、あまり回転が軽すぎないスプールは大型のプラグを投げるのに向いている。
ライン無し、実測181g。
カタログ値で2500Cが250g、5600Cが330gなので格段の軽さ。
巻き取りスピードが遅いと言う欠点も、トップでプラグを使う分には全く気にならなかったのですが・・・
例えばポッパーを使う様な場合、岸ギリギリにキャストしたら精々2、3回ポップさせたら後はルアーを回収する為に巻き取る訳ですが、夕刻のワンチャンスに巻き取りスピードが遅いと気が焦る。
私の様に心に余裕の無い人間には向いていないんですかねぇ?
結局他のリールも色々試して現在トップ用リールは2500Cで落ち着いている訳ですが、もう何十年か経過して、現在より更に体力が落ちた場合は再登板の予定・・・?
それではこいつもメンテナンスを兼ねて分解してみましょう。
一応念の為申し述べて置きますが、古い機械(リールやバイク等)は調子が悪くなければ無理に分解する必要はありません。
又、使用する工具はせめてJIS規格準拠の物を使って下さい。
基本的に樹脂パーツにはCRC-556は使わない方が無難です。
まずはハンドルをフリーにするアルミのキャップボタンを外します。
シャフトにネジ込んであるだけなので、ハンドル側から見て反時計回りに指で回します。
内部にはスプリングが押し込んであるので脱落に注意。
ABUの他のマルチプライヤーリールのハンドルは、ナットの緩み防止のプレートが付いているのですが、こいつは緩み防止は何も無し。
まあ、使っていて緩んだ事はありませんが。
10mmのスパナでナットを外します。
社外製の大型ダブルハンドルの装着も可能だと思いますが、ギアやシャフト等に負担が掛かる可能性があります。
多分、大型ハンドルは似合わないと思うけれど。
サイドプレートを外すとこんな感じ。
メインギア周辺。
スプール用とレベルワインド用のギアがハンドルシャフトと一体になったシンプルな構成。
アンバサダーと同様にメカニカルブレーキと遠心ブレーキを装備しています。
遠心ブレーキのドラム側は真鍮製。
遠心ブレーキは小型の物を1個使っています。
ボディーサイズの割には大型のスプール。
センターにスリット入り。
レベルワインドを分解します。
キャスト時レベルワインドはスプールと連動します。
メカニカルブレーキのキャップを外します。
アンバサダーのメカニカルブレーキは燐青銅の板でスプールのシャフト端部を押さえる事で抵抗を与える構造になっていますが、1750Aはラバー付きの樹脂製ブッシュで押すようになっています。
又、フレーム側のネジ部には緩み止めのスリットが入っています。
ベアリングだと空間部分が多いのでオイルを保持する量が多いが、ブッシングだとオイル溜まりが少ないので、ハンドル側のブッシュカバー内部にはフェルトが入っていてオイルを長時間キープする構造になっています。
クリック部分をフレーム内部から見るとこんな感じ。
2500Cと比較すると部品点数が少ないのが良く判ります。
ドラグが無い事や、クラッチ機構が単純な構造になっているので小型軽量、トラブルも少ない。
大分汚れているのでクリーニング。
研磨剤の入っていないケミカルを使用します。
こうやって見比べると2500Cが1750Aの発展型であるのが良く判ります。
シャフトの配置が良く似ています。
スプールの比較。
上の大きな方が1750A、下が2500C。
巾も径も1750Aの方が大きく、サミングし易い形状になっています。
2500Cだとラインの上をサミングしてキャスティングする事になりますが、ラインが引き出されて行くとスプール径が小さくなるので親指で無意識の内に押さえ方を調整している訳ですが、1750Aはスプールの盛り上がったサイドプレートを押さえてサミングするので、ラインのコンディションにコントロールが左右されないと言うメリットはあると思います。
リール全体で大きさを比較すると2500Cの方が大きいんですがね。
もっとも2500Cと比較するとフレームが弱く、こいつもプレートが何度か歪んでいます。
プレートにスプールの擦れ傷が・・・まあ、指でグイッとやれば治るんですが。
最近のリールは高級機種になると回転部分の殆どにボールベアリングが入っていますが、こいつはベアリングは1個も無し・・・それでも普通に釣りが出来る事を考えると10ボールベアリングとか搭載した最新機種は過剰装備?
トップウォーター用のリールならベアリングレスでも構わないと思うので、現在の技術でシンプルな超軽量リールを作って貰えないだろうか?
スプールが大き目でキャスティングし易く、巻き取りスピードが速い奴。
ダイレクトじゃあ無くて、ちゃんとしたドラグ付きの奴をお願いします。
言うまでも無い事ですが、工業製品は新しい物の方が絶対的に性能が優れています。
私は昔からABUを使っているので不自由は感じていませんが、近年の日本製リールしか知らない方には使い勝手が悪いはず。
このブログでは古い道具の紹介もしていますが、私は懐古趣味で古い物を集めている訳ではありません。
基本的に私が購入した当時は現行品や最新型だった物です。
キャリアだけは長いオッサン(私の事)が、しょぼい中古品を見せながら、何処かで聞いたような薀蓄をブログに書いているのを見ると、惑わされて自分も古道具を買ってみようと思う人もいるのではないかと思いますが・・・
前にも似た様な事を書きましたが、特に若い人は古いABUなんて買う予算があったら、現行品、最新型、できればハイエンド商品を良く吟味して購入する事をお勧めします。
いつの間にか何十年も使っていた・・・運が良ければそんな逸品に出会えるはず。
Posted by KAZU@ at 10:10│Comments(4)
│釣:リール
この記事へのコメント
たまたまABU1750を調べていて、この記事にたどり着きました。 いいリールですね! 昭和40年前後のグレ、チヌ釣りにはこのリールが全国の上物師に愛用されておりました。当時、国産の両軸・ダイレクトはオリムピック、大和精工、黒潮リール(沼津市)などが製作しておりましたが、ABUがはるかに洗練されていて、高性能かつ「糸噛み」がないため、絶大な人気を誇っておりました。ただ、非常に高価だったため(当時1$=360円)、海外から土産品として持ち込もうとしても関税が課せられたりで、少しでも安く手に入れるのが大変でした。立派な茶色の皮ケースに収められておりましたが、40数年の時を超えて、今でも大切に持っております。
Posted by sttach at 2012年08月23日 20:49
sttachさん、こんにちは。
文面から察するに私よりベテランの方とお見受け致します。
確かに1ドル360円時代、舶来品は高級品でした。
子供の頃、親戚に外国航路の船員をしている人がいて、父はジョニーウォーカーなんぞを貰っていましたが、今では有り難がる人もいませんね。
コメント頂いた通り、1750Aもそうですが、昔はABUのリールはルアーだけでは無くて海釣りでも使われていた事が多かったような気がしますが、やはり国産リールの出来が悪かったからなのでしょうね。
熱く、詳しいコメントを頂き、ありがとうございました。
文面から察するに私よりベテランの方とお見受け致します。
確かに1ドル360円時代、舶来品は高級品でした。
子供の頃、親戚に外国航路の船員をしている人がいて、父はジョニーウォーカーなんぞを貰っていましたが、今では有り難がる人もいませんね。
コメント頂いた通り、1750Aもそうですが、昔はABUのリールはルアーだけでは無くて海釣りでも使われていた事が多かったような気がしますが、やはり国産リールの出来が悪かったからなのでしょうね。
熱く、詳しいコメントを頂き、ありがとうございました。
Posted by KAZU@ at 2012年08月23日 21:05
購入しました。
シェイクスピアのダイレクトリールを使ってから急にAbu1750に興味が湧いてきてついに購入先ほど試し釣りにAbuの5600cや4500cに比べたら扱いが難しいですが いい感じでした 早く1匹釣ってみたい!
シェイクスピアのダイレクトリールを使ってから急にAbu1750に興味が湧いてきてついに購入先ほど試し釣りにAbuの5600cや4500cに比べたら扱いが難しいですが いい感じでした 早く1匹釣ってみたい!
Posted by yosi長岡 at 2019年07月17日 10:29
yosi長岡さん、こんにちは。
何しろ古いリールですし、色々と華奢な所がありますので壊さないように注意してお使い下さい。
コメントを頂き、ありがとうございました。
何しろ古いリールですし、色々と華奢な所がありますので壊さないように注意してお使い下さい。
コメントを頂き、ありがとうございました。
Posted by KAZU@ at 2019年07月17日 19:07
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