2010年03月20日
ABU アンバサダー 5600C
今回のネタはABU5600Cです。

ABUの中型マルチプライヤーリール、世界初のサムバー搭載モデル。

77年製。

ローギヤの1750Aに嫌気が差して、ハイスピードの2500Cか5500Cを購入するつもりで、汗ばむ手にアルバイト代を握り締めて向かった都内の有名釣具店のショーウィンドー。
関連記事リンク:ABU 1750A
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
怪しく黒光りしたボディーに深紅のサムバーが付いた新製品、ABU5600Cが燦然と輝いていました・・・
実物の5600Cを見たのはその時が初めて。
確か、5500Cより割高で予算オーバー気味だったのですが、最新式のサムバー搭載モデルを見たら、如何にも旧型と言う感じの5500Cは買えないじゃあないですか。
購入後、バス釣りのメインリールとして長きに渡って活躍。
トップウォータープラグ用のリールとしては2500Cにその座を譲り渡しましたが、現在は海のボート釣りで活躍しています。
最大の特徴は、やはりサムバーです。
従来のベイトキャスティングリールは、キャスティング時に親指でスプールを押さえてから、もう片方の手でサイドプレートやハンドル部分のクラッチボタンを押す必要がありました。
イージーキャストと言うのはリールメーカーの不変の開発テーマのようで、当時、ABUだと究極のイージーキャスティングリール、ABU500シリーズや、ミッチェルのスピニングでも、キャスト時にベールが自動でオープンするギミック搭載モデルが発売されていました。
関連記事リンク:ABU506
関連記事リンク:ミッチェル408
ABU500シリーズもミッチェルのベールオープン機構も現在は残っていませんが、サムバーは他社でも次々と同機構が搭載され、いまやサムバー付きで無いベイトリールを探すのが難しい位です。
5600Cの先進性が光りますな。
サムバーが付いている以外は、ABU5000シリーズと同じ造りです。
購入直後にダブルハンドルに交換した以外はフルノーマル。
30年以上の歳月で、目にも鮮やかだった深紅のサムバーが白くなってしまっています・・・

最近知ったのですが、このサムバーにクラックが入って壊れるトラブルが結構あるとか。
私の5600Cは幸い無傷。

サムバーが破損するとフレーム交換になってしまうらしい・・・
現在では大きく感じられるボディーですが、当時はこいつでバスだけでなくトラウトも釣っていました。
と、言うか2500Cが1975年に出るまでは1750Aを除けばABU5000系が一番小型のベイトリールだったのです。
70年代では2500Cユーザーは、まだ少数派だったと思います、
又、ABU5000系を海釣りで使用されているユーザーも多かったと思います。
船のカワハギ釣りに使われる事が多かったようです。
当時の日本製の両軸リールは海釣りで過酷に使われると耐久性に問題があったのでしょう。
70年代の『つり人』の記事だったと思いますが、カワハギ釣りに使ったアンバサダーをメンテするのにミシン油(死語?)にリールをドブ漬けすると言うのが紹介されていたのを思い出します。
ハンドルは180度回転でクラッチON。
2500C同様、ドラッグが逆転する時はカチカチ音が出ます。
それでは例によってメンテナンスを兼ねて分解してみます。

ハンドルナット周りの構成は近代のABUベイトリールでも全く同じ。

ハンドル下のワッシャは大分草臥れています・・・

右サイドプレートの取り外しはネジ3本。

遠心ブレーキは例によって小型の物を1個だけ使用。

左右サイドプレートのボールベアリングはキャップを外すだけで取り外し可能。

外周が太鼓型になっています。

ベアリングの外周を完全に固定してしまうと軸が微妙に振れた時に回転の抵抗になってしまいます。
自動調芯タイプを使用しているのは回転を軽く保つ為の工夫なのでしょう。
小型のネジ3本外して左サイドカバーを開けると中にはサムバー押し上げ用の捩じりバネが入っているので脱落注意。

レベルワインドはスプールと連動、構造的には他のアンバサダーと変わりません。

設計の新しい2500Cと比較して、樹脂パーツが少ないのが良く判ると思います。

通常のメンテナンスではレベルワインド駆動用のプラギアにグリスを塗布。

右側のベアリング収納部にオイルを注入。

メカニカルブレーキ収納部のベアリングに注油。

レベルワインドに注油。

グリスの塗布以外は右サイドプレートを分解しなくてもメンテナンスが可能になっています。
手持ちの中でも、もっとも使用頻度が高かったリールで愛着の有る品だが、今となってはベースとなっている旧5000系の設計の古さが気になる。
旧アンバサダーはボールベアリングがサイドプレートの外側でスプールシャフトを支えています。

2500Cや、ウルトラキャスト以降のスプールにベアリングが入っているシャフトレスタイプと比較すると、支持部の距離が倍近い。
関連記事リンク:ABU アンバサダー ロイヤルエキスプレス
関連記事リンク:ABU アンバサダー 4600C クラッシック
関連記事リンク:ABU アンバサダー SM1600C
5600Cのベアリング軸はφ3mm。
1975年発売の2500Cは軸径はφ5mmになっています。(ウルトラキャスト系5000はφ4mm)
断面積で見ると5600Cは7.1㎟、2500Cは19.6㎟なので約2.8倍(ウルトラキャストは12.6㎟、約1.8倍)。
しかも自動調芯ベアリングは軸の固定が自由支持となり、一般的な円筒型ベアリングは固定支持と考えられるのでこれだけで旧5000系の軸の強度は2500Cの半分になる計算です。
一見5600Cと2500Cでは5600Cの方が頑丈に見えますが、単純に計算すると旧5000系のスプールシャフトの強度は2500Cの1/10以下と言う事か・・・
私は旧6000系は持っていないのですが、単に5000系をワイドスプールにしているだけだったと思います。
ベアリングの支持部が離れる程強度は低下しますので、推測になりますが6000系は5000系より更にスプールシャフトの強度が落ちるはず。
古いABUのリールは頑丈・・・と言うのが一般的な認識では無いかと思うのですが、基本的に昔のリールの設計はPEラインの強度が計算に入って無いので、太いPEラインを使ってドラグを強く締めると壊す事になると思います。
実際、私はPEラインでカーディナル44のシャフトを曲げてしまいました。
関連記事リンク:ABUカーディナル33&44
まあ、機械部品はトータルバランスが大切なので部分的に強化しても他の部品が壊れる事もあるのですが・・・
最近のアンバサダーは、ドラグがフルロック出来ない物があるようですが、恐らくPEラインによるリール破損の回避目的も有るのではないでしょうか?
昨今はリールのチェーンナップが流行しているようで、旧5000系もベアリング交換されているユーザーの方がいるようです。
単に樽型ベアリングを円筒型ベアリングに交換してしまうと軸受の芯ズレの逃げが無くなるので色々と不具合になりそうな気もするのですが・・・
そもそも、旧5000系に遠投性能を求めるのは荷が重いのではないかとも思います。
海水を浴びているのと、私のメンテナンス不足もあって一部塗装が傷んでいる部分もありますが、30年以上使っていてこのコンディション・・・当時の素材、メッキ、塗装に手抜き無し。

無理な使い方をしなければ、多分、後30年位は普通に使えるはず。
重さだけはどうにもならないが・・・

ABUの中型マルチプライヤーリール、世界初のサムバー搭載モデル。
77年製。
ローギヤの1750Aに嫌気が差して、ハイスピードの2500Cか5500Cを購入するつもりで、汗ばむ手にアルバイト代を握り締めて向かった都内の有名釣具店のショーウィンドー。
関連記事リンク:ABU 1750A
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
怪しく黒光りしたボディーに深紅のサムバーが付いた新製品、ABU5600Cが燦然と輝いていました・・・
実物の5600Cを見たのはその時が初めて。
確か、5500Cより割高で予算オーバー気味だったのですが、最新式のサムバー搭載モデルを見たら、如何にも旧型と言う感じの5500Cは買えないじゃあないですか。
購入後、バス釣りのメインリールとして長きに渡って活躍。
トップウォータープラグ用のリールとしては2500Cにその座を譲り渡しましたが、現在は海のボート釣りで活躍しています。
最大の特徴は、やはりサムバーです。
従来のベイトキャスティングリールは、キャスティング時に親指でスプールを押さえてから、もう片方の手でサイドプレートやハンドル部分のクラッチボタンを押す必要がありました。
イージーキャストと言うのはリールメーカーの不変の開発テーマのようで、当時、ABUだと究極のイージーキャスティングリール、ABU500シリーズや、ミッチェルのスピニングでも、キャスト時にベールが自動でオープンするギミック搭載モデルが発売されていました。
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関連記事リンク:ミッチェル408
ABU500シリーズもミッチェルのベールオープン機構も現在は残っていませんが、サムバーは他社でも次々と同機構が搭載され、いまやサムバー付きで無いベイトリールを探すのが難しい位です。
5600Cの先進性が光りますな。
サムバーが付いている以外は、ABU5000シリーズと同じ造りです。
購入直後にダブルハンドルに交換した以外はフルノーマル。
30年以上の歳月で、目にも鮮やかだった深紅のサムバーが白くなってしまっています・・・
最近知ったのですが、このサムバーにクラックが入って壊れるトラブルが結構あるとか。
私の5600Cは幸い無傷。
サムバーが破損するとフレーム交換になってしまうらしい・・・
現在では大きく感じられるボディーですが、当時はこいつでバスだけでなくトラウトも釣っていました。
と、言うか2500Cが1975年に出るまでは1750Aを除けばABU5000系が一番小型のベイトリールだったのです。
70年代では2500Cユーザーは、まだ少数派だったと思います、
又、ABU5000系を海釣りで使用されているユーザーも多かったと思います。
船のカワハギ釣りに使われる事が多かったようです。
当時の日本製の両軸リールは海釣りで過酷に使われると耐久性に問題があったのでしょう。
70年代の『つり人』の記事だったと思いますが、カワハギ釣りに使ったアンバサダーをメンテするのにミシン油(死語?)にリールをドブ漬けすると言うのが紹介されていたのを思い出します。
ハンドルは180度回転でクラッチON。
2500C同様、ドラッグが逆転する時はカチカチ音が出ます。
それでは例によってメンテナンスを兼ねて分解してみます。
ハンドルナット周りの構成は近代のABUベイトリールでも全く同じ。
ハンドル下のワッシャは大分草臥れています・・・
右サイドプレートの取り外しはネジ3本。
遠心ブレーキは例によって小型の物を1個だけ使用。
左右サイドプレートのボールベアリングはキャップを外すだけで取り外し可能。
外周が太鼓型になっています。
ベアリングの外周を完全に固定してしまうと軸が微妙に振れた時に回転の抵抗になってしまいます。
自動調芯タイプを使用しているのは回転を軽く保つ為の工夫なのでしょう。
小型のネジ3本外して左サイドカバーを開けると中にはサムバー押し上げ用の捩じりバネが入っているので脱落注意。
レベルワインドはスプールと連動、構造的には他のアンバサダーと変わりません。
設計の新しい2500Cと比較して、樹脂パーツが少ないのが良く判ると思います。
通常のメンテナンスではレベルワインド駆動用のプラギアにグリスを塗布。
右側のベアリング収納部にオイルを注入。
メカニカルブレーキ収納部のベアリングに注油。
レベルワインドに注油。
グリスの塗布以外は右サイドプレートを分解しなくてもメンテナンスが可能になっています。
手持ちの中でも、もっとも使用頻度が高かったリールで愛着の有る品だが、今となってはベースとなっている旧5000系の設計の古さが気になる。
旧アンバサダーはボールベアリングがサイドプレートの外側でスプールシャフトを支えています。
2500Cや、ウルトラキャスト以降のスプールにベアリングが入っているシャフトレスタイプと比較すると、支持部の距離が倍近い。
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5600Cのベアリング軸はφ3mm。
1975年発売の2500Cは軸径はφ5mmになっています。(ウルトラキャスト系5000はφ4mm)
断面積で見ると5600Cは7.1㎟、2500Cは19.6㎟なので約2.8倍(ウルトラキャストは12.6㎟、約1.8倍)。
しかも自動調芯ベアリングは軸の固定が自由支持となり、一般的な円筒型ベアリングは固定支持と考えられるのでこれだけで旧5000系の軸の強度は2500Cの半分になる計算です。
一見5600Cと2500Cでは5600Cの方が頑丈に見えますが、単純に計算すると旧5000系のスプールシャフトの強度は2500Cの1/10以下と言う事か・・・
私は旧6000系は持っていないのですが、単に5000系をワイドスプールにしているだけだったと思います。
ベアリングの支持部が離れる程強度は低下しますので、推測になりますが6000系は5000系より更にスプールシャフトの強度が落ちるはず。
古いABUのリールは頑丈・・・と言うのが一般的な認識では無いかと思うのですが、基本的に昔のリールの設計はPEラインの強度が計算に入って無いので、太いPEラインを使ってドラグを強く締めると壊す事になると思います。
実際、私はPEラインでカーディナル44のシャフトを曲げてしまいました。
関連記事リンク:ABUカーディナル33&44
まあ、機械部品はトータルバランスが大切なので部分的に強化しても他の部品が壊れる事もあるのですが・・・
最近のアンバサダーは、ドラグがフルロック出来ない物があるようですが、恐らくPEラインによるリール破損の回避目的も有るのではないでしょうか?
昨今はリールのチェーンナップが流行しているようで、旧5000系もベアリング交換されているユーザーの方がいるようです。
単に樽型ベアリングを円筒型ベアリングに交換してしまうと軸受の芯ズレの逃げが無くなるので色々と不具合になりそうな気もするのですが・・・
そもそも、旧5000系に遠投性能を求めるのは荷が重いのではないかとも思います。
海水を浴びているのと、私のメンテナンス不足もあって一部塗装が傷んでいる部分もありますが、30年以上使っていてこのコンディション・・・当時の素材、メッキ、塗装に手抜き無し。
無理な使い方をしなければ、多分、後30年位は普通に使えるはず。
重さだけはどうにもならないが・・・
Posted by KAZU@ at 10:10│Comments(0)
│釣:リール
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