2010年03月14日
ABU アンバサダー SM1600C
今回紹介するのはABUのSM1600Cです。

90年代中頃、海外通販で購入。

国内でも販売されていたと思いますが、一部仕様が違うかも知れません。
90年代に入ってから、海外通販のカタログに怪しい釣り糸が登場しました。
70年代末のカーボンロッド登場に匹敵する、釣りを劇的に変化させる技術革新!
PEラインの登場です。
関連記事リンク:バークレー ファイヤーライン
ナイロンライン8ポンドの細さで30ポンドの強度と言う触れ込みで、最初は胡散臭いところもあったのですが、伸びが無くて感度が良い特徴を活かして、今ではジギングやエギングには無くてはならない存在です。
こいつは90年代にABUからPEライン対応としてリリースされたリールです。
刻印を見ると94年製造か。

レベルワインドの左右への振幅が早くなっていて、スプールへのPEラインの噛み込みを防止と言う触れ込みでした。

PEラインは細いので、ラインが強く引かれるとスプールに喰い込むって言われていた訳ですよ。
まあ、従来のアンバサダーでPEを使っても特に問題は出ないと思いますが。
他に幅が広いSM3600Cと言うのもリリースされていたと思います。
現在では特にPEライン用と言うリールは売っていないと思いますが、当時はスピニングリールでもPE用と言うのがリリースされていて、私はミッチェルのPEライン用ギミック搭載スピニングも購入していました。
関連記事リンク:ミッチェル 308X GOLD
ボディーがアルミ削り出しのワンピース。
軽量と剛性を兼ね備えた当時の最新型。
日本製リールの影響もあったのではないかと思います。
バス釣りだけでは無く、海釣りでも使っていますし、しばらく放置してあったので例によって分解して清掃します。
旧アンバサダーと比較するとスプール周りがキチキチで、分解しないと指も入らないので掃除がし難い。
ハンドルの樹脂製カバーに王室御用達マークが輝きます。

カバーを外すといつもの見なれたEリング。

精密ドライバーの先を使って外します。
ハンドルナットはいつもの10mmスパナで緩めます。

やはりスタードラッグと言う位なので5本有るとしっくりしますな。

1000,2000系と同様、プレートは2本のネジで固定されています。

旧アンバサダーと異なり、スプールシャフトとスプールは別体。

スプールシャフトはメカニカルブレーキのキャップで咥えています。

シャフトにかしめてある真鍮のカラーは、メカニカルブレーキの接触部分。

カバーを外すと中からギアユニットが顔を出します。

樹脂製フレームにギアやスプリング、カムが組み込んであります。

レベルワインドのフリー機構も一緒になっているので複雑。
特に不調で無ければ弄らない方が無難です。
遠心ブレーキのドラム部分。

遠心ブレーキは角断面の樹脂製で旧アンバサダーと異なります。
例によって小さいのを1個だけ使用しています。

旧アンバサダーのブレーキは円筒状の物で、スプールを外した時に落下、紛失し易かったのですが、簡単に脱落しないように改良されています。
スプールのベアリングはサイドプレートでは無く、スプール側に2500Cより小径の物が入っています。

回転抵抗を少なくする為に小径ベアリングを採用しているのだと思います。
2500Cのスプールシャフトがφ5mmだったのに対してφ3mmっていうのは少々細すぎるような気もするが、旧5000番もベアリング部のシャフト径は3mm。
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C
シャフトはストレートな形状で集中応力が発生し難い設計。
ベアリングもスプールに埋め込んで有る分、旧アンバサダーよりベアリング支持部の距離が近くなっているので材料力学的には有利。
極端に強度が落ちていると言う訳では無いと思います。
もっともPEラインは強度があって伸びが無いので、根掛かりを外す時に無理な荷重を掛けるとシャフトが曲がる可能性が高いので御注意。
スプールを抜き取り、レベルワインドの分解。
ギアをサポートしているプレートのネジを外して抜き取ります。

レベルワインドのシャフトもEリングで固定されているので精密ドライバーで外します。

レベルワインドのシャフトの左右もボールベアリングで保持して回転抵抗を少なくしてあります。

もっともSM1600Cはクラッチを切るとレベルワインドは停止してスプールと縁が切れるので、ベアリングが入っている事とルアーの飛距離とは関係ありません。
スプールの回転抵抗を少なくする為にレベルワインドとスプールを切り離す機構はスピードスプール辺りから一般化したと思います。
SM1600Cはレベルワインドとスプールの距離が近いのでライン抵抗が大き目。
スピードスプールがスプールからレベルワインドをなるべく離すデザインだった事を考えると少々疑問が残ります。
張りのある太目のナイロンラインだと抵抗が気になりますが、しなやかで摩擦抵抗の少ないPEラインの使用が前提ならあまり問題にはならないのかも知れません。
6ボールベアリングだったか?

現在の最新型リールでは、ハンドルのつまみにまでベアリングが入っているので、最新型と比較するとたいした事は無いのですが、私の手持ちの他のリールはベアリング無しとか、入っていても2ベアリングなので購入当時はスムーズな作動に感心した物です。
フレーム内側のネジを外すと左側のカバーが外れます。

カバー内部にサムバーを引っ張り上げるスプリングが付いているので外しておきます。

こいつのサムバーは5600Cと異なり分解可能ですが、小型のEリングやスプリングが付いているので分解には部品を無くさない様に注意が必要です。

樹脂製のサムバーとピン2本、フレーム左右に樹脂製の受けが嵌め込んであります。

見た目は1750Aと変わらない大きさですが、内部にはパーツがぎっしり。

コンパクトなボディーなので重く感じる。

ライン付き実測で269g。
2500Cとほぼ同重量。
がらんどうになったフレームはアルミだけあって軽量。

パーツを磨き、注油しながら組み立てます。
ギアシャフトを受けるカバー部分に入っているローラーベアリングが通称ワンウェイクラッチ。
ローラーの受けの部分がくさびのような形状になっていて、一定方向に回転させる時は軸受となりますが逆回転させるとくさびにローラーが喰い込んでシャフトを締め付ける構造です。

インスタントアンチリバース(IAR)のかなめのパーツですな。
この部分はオイルでは無く、粘性の有るグリスを注油しておきます。
他にオイルを注入するのはハンドルシャフトのEリング部分

スプールのベアリング

レベルワインド。

リールフットがボディー内部に入り込むような設計になっていて、今時のブランクスルーのグリップを持つロッドとの相性も良い。


こいつの唯一の弱点は、飛距離UPを目的にスプールを軽量化、小さくし過ぎた事。
私の指だと大き過ぎて、ピンポイントを狙うような微妙なサミングがやり難い。

その代わり遠投して広くポイントを探るような釣りには向いています。
もう少し軽いともっと良いと思うんだが、この機能だと後は樹脂化を進めるしか無いのかなぁ?
後はボディーのロゴを印刷では無く、刻印にすれば質感が上がると思うのだが。
ボディー上部にモデル名が印刷されていたのだが、摩耗してしまって、もう読めない。

さて、ABUの小型マルチプライヤー3種、1750A、2500C、SM1600Cと紹介しましたが時代による構造の違いがお判り頂けたでしょうか?
関連記事リンク:ABU 1750A

1750Aと2500Cの間には約15年、2500CからSM1600Cの間には約20年の基本設計の違いがあります。

まあ、趣味の道具なので人によって好き嫌いは有るでしょうが、SM1600Cが機械としては一番優秀です。

最初は従来のABUとは全くデザインや機構が違うので面食らったところもあったけれど、やっぱり旧アンバサダーと似ている所も沢山あって、これは正常進化と言って良いのではないだろうか?

もっともこいつも既に15年位の付き合いなので、そろそろ最新型を買っても良いとは思うのだが・・・取り敢えず手持ちで間に合っているので中々新しいのは買えないんだよね・・・
と、言うよりは先立つ物が無いのだが。
関連記事リンク
90年代中頃、海外通販で購入。
国内でも販売されていたと思いますが、一部仕様が違うかも知れません。
90年代に入ってから、海外通販のカタログに怪しい釣り糸が登場しました。
70年代末のカーボンロッド登場に匹敵する、釣りを劇的に変化させる技術革新!
PEラインの登場です。
関連記事リンク:バークレー ファイヤーライン
ナイロンライン8ポンドの細さで30ポンドの強度と言う触れ込みで、最初は胡散臭いところもあったのですが、伸びが無くて感度が良い特徴を活かして、今ではジギングやエギングには無くてはならない存在です。
こいつは90年代にABUからPEライン対応としてリリースされたリールです。
刻印を見ると94年製造か。
レベルワインドの左右への振幅が早くなっていて、スプールへのPEラインの噛み込みを防止と言う触れ込みでした。
PEラインは細いので、ラインが強く引かれるとスプールに喰い込むって言われていた訳ですよ。
まあ、従来のアンバサダーでPEを使っても特に問題は出ないと思いますが。
他に幅が広いSM3600Cと言うのもリリースされていたと思います。
現在では特にPEライン用と言うリールは売っていないと思いますが、当時はスピニングリールでもPE用と言うのがリリースされていて、私はミッチェルのPEライン用ギミック搭載スピニングも購入していました。
関連記事リンク:ミッチェル 308X GOLD
ボディーがアルミ削り出しのワンピース。
軽量と剛性を兼ね備えた当時の最新型。
日本製リールの影響もあったのではないかと思います。
バス釣りだけでは無く、海釣りでも使っていますし、しばらく放置してあったので例によって分解して清掃します。
旧アンバサダーと比較するとスプール周りがキチキチで、分解しないと指も入らないので掃除がし難い。
ハンドルの樹脂製カバーに王室御用達マークが輝きます。
カバーを外すといつもの見なれたEリング。
精密ドライバーの先を使って外します。
ハンドルナットはいつもの10mmスパナで緩めます。
やはりスタードラッグと言う位なので5本有るとしっくりしますな。
1000,2000系と同様、プレートは2本のネジで固定されています。
旧アンバサダーと異なり、スプールシャフトとスプールは別体。
スプールシャフトはメカニカルブレーキのキャップで咥えています。

シャフトにかしめてある真鍮のカラーは、メカニカルブレーキの接触部分。
カバーを外すと中からギアユニットが顔を出します。
樹脂製フレームにギアやスプリング、カムが組み込んであります。
レベルワインドのフリー機構も一緒になっているので複雑。
特に不調で無ければ弄らない方が無難です。
遠心ブレーキのドラム部分。
遠心ブレーキは角断面の樹脂製で旧アンバサダーと異なります。
例によって小さいのを1個だけ使用しています。
旧アンバサダーのブレーキは円筒状の物で、スプールを外した時に落下、紛失し易かったのですが、簡単に脱落しないように改良されています。
スプールのベアリングはサイドプレートでは無く、スプール側に2500Cより小径の物が入っています。
回転抵抗を少なくする為に小径ベアリングを採用しているのだと思います。
2500Cのスプールシャフトがφ5mmだったのに対してφ3mmっていうのは少々細すぎるような気もするが、旧5000番もベアリング部のシャフト径は3mm。
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C
シャフトはストレートな形状で集中応力が発生し難い設計。
ベアリングもスプールに埋め込んで有る分、旧アンバサダーよりベアリング支持部の距離が近くなっているので材料力学的には有利。
極端に強度が落ちていると言う訳では無いと思います。
もっともPEラインは強度があって伸びが無いので、根掛かりを外す時に無理な荷重を掛けるとシャフトが曲がる可能性が高いので御注意。
スプールを抜き取り、レベルワインドの分解。
ギアをサポートしているプレートのネジを外して抜き取ります。
レベルワインドのシャフトもEリングで固定されているので精密ドライバーで外します。
レベルワインドのシャフトの左右もボールベアリングで保持して回転抵抗を少なくしてあります。
もっともSM1600Cはクラッチを切るとレベルワインドは停止してスプールと縁が切れるので、ベアリングが入っている事とルアーの飛距離とは関係ありません。
スプールの回転抵抗を少なくする為にレベルワインドとスプールを切り離す機構はスピードスプール辺りから一般化したと思います。
SM1600Cはレベルワインドとスプールの距離が近いのでライン抵抗が大き目。
スピードスプールがスプールからレベルワインドをなるべく離すデザインだった事を考えると少々疑問が残ります。
張りのある太目のナイロンラインだと抵抗が気になりますが、しなやかで摩擦抵抗の少ないPEラインの使用が前提ならあまり問題にはならないのかも知れません。
6ボールベアリングだったか?
現在の最新型リールでは、ハンドルのつまみにまでベアリングが入っているので、最新型と比較するとたいした事は無いのですが、私の手持ちの他のリールはベアリング無しとか、入っていても2ベアリングなので購入当時はスムーズな作動に感心した物です。
フレーム内側のネジを外すと左側のカバーが外れます。
カバー内部にサムバーを引っ張り上げるスプリングが付いているので外しておきます。
こいつのサムバーは5600Cと異なり分解可能ですが、小型のEリングやスプリングが付いているので分解には部品を無くさない様に注意が必要です。
樹脂製のサムバーとピン2本、フレーム左右に樹脂製の受けが嵌め込んであります。
見た目は1750Aと変わらない大きさですが、内部にはパーツがぎっしり。
コンパクトなボディーなので重く感じる。
ライン付き実測で269g。
2500Cとほぼ同重量。
がらんどうになったフレームはアルミだけあって軽量。
パーツを磨き、注油しながら組み立てます。
ギアシャフトを受けるカバー部分に入っているローラーベアリングが通称ワンウェイクラッチ。
ローラーの受けの部分がくさびのような形状になっていて、一定方向に回転させる時は軸受となりますが逆回転させるとくさびにローラーが喰い込んでシャフトを締め付ける構造です。
インスタントアンチリバース(IAR)のかなめのパーツですな。
この部分はオイルでは無く、粘性の有るグリスを注油しておきます。
他にオイルを注入するのはハンドルシャフトのEリング部分
スプールのベアリング
レベルワインド。
リールフットがボディー内部に入り込むような設計になっていて、今時のブランクスルーのグリップを持つロッドとの相性も良い。
こいつの唯一の弱点は、飛距離UPを目的にスプールを軽量化、小さくし過ぎた事。
私の指だと大き過ぎて、ピンポイントを狙うような微妙なサミングがやり難い。
その代わり遠投して広くポイントを探るような釣りには向いています。
もう少し軽いともっと良いと思うんだが、この機能だと後は樹脂化を進めるしか無いのかなぁ?
後はボディーのロゴを印刷では無く、刻印にすれば質感が上がると思うのだが。
ボディー上部にモデル名が印刷されていたのだが、摩耗してしまって、もう読めない。
さて、ABUの小型マルチプライヤー3種、1750A、2500C、SM1600Cと紹介しましたが時代による構造の違いがお判り頂けたでしょうか?
関連記事リンク:ABU 1750A
1750Aと2500Cの間には約15年、2500CからSM1600Cの間には約20年の基本設計の違いがあります。
まあ、趣味の道具なので人によって好き嫌いは有るでしょうが、SM1600Cが機械としては一番優秀です。
最初は従来のABUとは全くデザインや機構が違うので面食らったところもあったけれど、やっぱり旧アンバサダーと似ている所も沢山あって、これは正常進化と言って良いのではないだろうか?
もっともこいつも既に15年位の付き合いなので、そろそろ最新型を買っても良いとは思うのだが・・・取り敢えず手持ちで間に合っているので中々新しいのは買えないんだよね・・・
と、言うよりは先立つ物が無いのだが。
関連記事リンク
2015/11/15
Posted by KAZU@ at 10:10│Comments(4)
│釣:リール
この記事へのコメント
はじめまして。
今年になって
中古の廉価版S1600Cを入手して
そのソリッドな質感と
実戦向きな仕様に惚れました。
SM1600Cよりも
ベアリングは少ないですが
特に不満なしです。
こんなに使いやすいリールがあるとは
知りませんでした。
今年になって
中古の廉価版S1600Cを入手して
そのソリッドな質感と
実戦向きな仕様に惚れました。
SM1600Cよりも
ベアリングは少ないですが
特に不満なしです。
こんなに使いやすいリールがあるとは
知りませんでした。
Posted by SK at 2010年04月17日 21:06
SKさん、こんにちは。
おっしゃる通り、質感は高いですね。
コンパクトなワンピースボディにギッシリ凝縮されたメカニズムで、弄っているだけで楽しくなるリールだと思います。
ベアリング数についてはレベルワインドに入っていてもあまり意味が無いと思いますので、この機構なら2+1で必要充分なのではないでしょうか。
コメントありがとうございました。
おっしゃる通り、質感は高いですね。
コンパクトなワンピースボディにギッシリ凝縮されたメカニズムで、弄っているだけで楽しくなるリールだと思います。
ベアリング数についてはレベルワインドに入っていてもあまり意味が無いと思いますので、この機構なら2+1で必要充分なのではないでしょうか。
コメントありがとうございました。
Posted by KAZU@
at 2010年04月18日 10:32

初めまして
ぶしつけに失礼をいたします
今日sm1600cのスプールベアリングを交換したのですが
その時に遠心ブレーキのリング曲がっているのが発覚しました
申し訳ないのですが部品番号などご存知ないでしょう?
ぶしつけに失礼をいたします
今日sm1600cのスプールベアリングを交換したのですが
その時に遠心ブレーキのリング曲がっているのが発覚しました
申し訳ないのですが部品番号などご存知ないでしょう?
Posted by 三角 幸市 at 2021年12月23日 21:59
三角さん、こんにちは。
Abu Garcia 1600 C (04 00) Ambassadeur SM Parts
で検索すると海外のサイトですがパーツリストがヒットすると思いますよ。
お探しのパーツが見つかると良いのですが・・・
コメントを頂き、有難う御座いました。
Abu Garcia 1600 C (04 00) Ambassadeur SM Parts
で検索すると海外のサイトですがパーツリストがヒットすると思いますよ。
お探しのパーツが見つかると良いのですが・・・
コメントを頂き、有難う御座いました。
Posted by KAZU@
at 2021年12月23日 22:42

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。 |