ナチュログ管理画面 バスフィッシング バスフィッシング 関東 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報
ブログ作成はコチラ
あなたもナチュログでアウトドア生活を綴ってみませんか?
QRコード
QRCODE
Information
アウトドア用品の
ご購入なら!

アクセスカウンタ
プロフィール
KAZU@
KAZU@
Stay Home Save Lives

2010年03月28日

ABU アンバサダー 4600C クラッシック

今回のネタはABU4600C クラッシックです。



90年代初頭、トーナメントの普及や、芸能人がバス釣りを始めてメディアに大きく取り上げられた影響で急速にバス釣り人口が増加、所謂バスバブルが起こりました。

人気のルアーにプレミアが付いて、抽選や抱き合わせ販売でないと買えないとか、数の増加は質の低下と言われるように、フィールドへ行ってもブームに乗ってバス釣りを始めたばかりのルールやマナーを知らない不愉快な同業者と遭遇する機会が増えたり、ちょっと異常な時代でした。

まあ何かと無理があったのでしょう、そんな時代は長くは続かず、90年代末にはブームも去って釣り人口は大幅に減少し始めたのでは無いかと思います。
同業者が減るのは、静かに釣りを楽しみたい私的には大歓迎なのですが、ちょっと困ったのは釣具店が少なくなった事。

近所にあった釣具店が数年の間に3店舗も閉鎖されてしまいました・・・
休日に釣具屋を梯子してウインドーショッピングするのが楽しみだったのに。

こいつはあるチェーン店の閉店セールに行った時、棚の奥に隠れていた奴。



定価は3万円位だったのではないかと思いますが、1万円を切っていたはず。

ロイヤルエキスプレスが好印象だったので、ちょっと高いか?と、思いつつ購入。

関連記事リンク


70年代の5000を思い出させる波型のカバー。



黒いサムバー。



ハンドル付け根がもっこりしています。



内部構造はロイヤルエキスプレスと同じウルトラキャスト。



フレームとギヤユニットに互換性があります。



カバーを入れ替えればクラッシックの外観でハイスピードモデルが出来上がる訳ですね。

カラーリングと外見は70年代、中身は90年設計。
バストーナメントの普及で、効率至上主義の最先端釣法が持て囃される一方で、ABU社らしさを出そうとしたリールなのでしょう。



ちょっと思想が後ろ向きな気はしますが、私のようなオッサンが使うには丁度良いのか。



ウルトラキャスト系のアンバサダーはメカニカルブレーキがハンドル側にあって、調整する時にドラグやハンドルが邪魔になるのですが、クラッシックは左のサイドプレートでメカニカルブレーキが調整出来るので便利。

キャップ内部の構造は旧5000系と少々異なります。



ブラス(真鍮)のブッシュがスプールシャフトを支えると同時に横方向に押し付けられるとスプールギアへの抵抗になる仕組み。



左側のブッシュ自体は回転しないと思うのだが、旧5000系の様にシムが2枚入っているし、如何にも取って付けたような構造だ。



ハンドル側のメカニカルブレーキも生きているので、左右でブレーキ調整出来る訳ですが・・・あまり意味が無いような。



ハンドル側のメカニカルブレーキをパーミングカップモデルと別構造にするとコストUPになるので流用しているのではないかと思う。

98年製造の様ですな。(1996年に限定販売されたと言うネット情報もある?)



赤いダブルハンドルを含めて、完全ノーマル。



レベルワインドのガイド上部に謎の凸・・・エルゴグリップという、親指を乗せるパーツの位置決め用エンボス。



フレームが共用なのね。
不要な突起なので無くしてくれれば良いのに。

ちなみにエルゴグリップが付いていると、確かにパーミングはしっくり来る気がするけれど、トップウォーター用に使う時は、ハンドルを使わないで左手の親指でスプールを回転させてラインを巻き取る事があるのでエルゴグリップが無い方が使い勝手は良い。

重量はライン込で300g超え・・・シングルハンドルのロッドで使うのはこの辺が限界か?



2500Cよりスプールが大径なので、ナイロンの巻癖が付き難いとか、直径が大きい分、理論的にはサミング時の微妙なコントロールがやり易いとかのメリットはあると思う。

関連記事リンク





  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(0)釣:リール

2010年03月27日

ABU アンバサダー 4600C ロイヤルエクスプレス

リール紹介の続き、今回は漆黒の超特急!?

アンバサダー、ロイヤルエキスプレスです。



80年代に入り、日本製ベイトキャスティングリールの台頭によってシェアを奪われたABU社は、伝統的なアンバサダー5000シリーズの改良を始めました。

関連記事リンク


日本製リールの特徴の一つに左サイドプレートがプレーンになっていてパーミングし易い事が挙げられます。

以前紹介したABUリール用の後付けパーミングカップは昔からあったのですが、後付けだとどうしてもボリュームが増えてしまいます。

関連記事リンク


そんな訳で?ABUのパーミングモデルが次々とリリースされた訳ですが、私は80年代のABUリールは購入していないのでどのような物だったのかは良く知りません。

日本製リールに対抗する為にマグネットブレーキを搭載した非円形リールも色々リリースされたようですが、いずれも短命で人気が無く、かつてのアンバサダーの栄光を知る者としては寂しい思いをしていました。

私は90年代に入ると、以前紹介したアリーをランクル70に積んで琵琶湖に通い始めました。

関連記事リンク


長浜近くの湖岸からカヌーで沖に出ると、水深5~10m位の所に広大なウィードエリアが広がっているポイントがあります。

そのポイントではディープダイブのクランクベイトを多用していたのですが、急速潜航させる為にはハイスピードのリールが欲しい。

バスプロショップスのセール品、確か50ドル位を通販購入。



4600Cと言う表記は有りませんが、5000番サイズのナロースプール、サムバー付き右ハンドル、ベアリング入りなので4600C相当と言う事になります。

まあ、現在のリールでボールベアリングが入っていない物は無いので、いつまでも形式末尾にCって付けるのもどうかと思いますが。

6.3:1と言うハイギア仕様(ABUとしては)なので大型のダブルハンドルに変更済み。



ERGO GRIPと名付けられた樹脂製の指置きが付いています。



確かにパーミングの時にしっくりしますが、レベルワインドにラインを通すとか汚れをふき取る時には邪魔になる。

リールフットは樹脂製!



軽量化とコストダウンなのでしょうな。
意外とチープ感は無く、堅牢。

リールフットの黒に合せたのか?
サムバー、



フレーム、



カバー、スタードラッグ、メカニカルブレーキ、ネジ、



レベルワインドのカバー迄全部黒い。



唯一シルバーなのはレベルワインド可動部のみ。
ここまで黒くしてしまうと、ラインが擦れて下地が出ると汚らしくなるからでしょうか?

ちなみにハンドルナットはマグサーボ用の黒い六角ナットを移植してありますが、ノーマルは黒い樹脂カップ。

関連記事リンク


内部構造はウルトラキャストと言われるスプールとスプールシャフトが別体で、ハンドルユニットをフレームから外すとスプールシャフトがハンドルユニットに付いてくるタイプ。



旧アンバサダーしか知らなかったので、最初に分解した時は内部機構の変貌ぶりに驚きました・・・



今にしてみればギア比6.3:1と言うのはそんなにハイギアとは言えないのかも知れませんが、ABU4000系の大径スプールなのでハンドル一回転当りのライン巻き取り長さはかなりの物。

各部の軽量化の効果もあって、疲労し難いのも利点の一つ。

ライン無しの実測で267g、2500Cとほぼ同じ。

関連記事リンク




樹脂パーツが多用されているとチープだって敬遠するユーザーもいますが、質実剛健な使えるリールだと思います。

例に寄って分解清掃しておきます。



以前紹介したSM1600Cはキャスト時にレベルワインドがフリーになりますが、こいつはレベルワインドは常にスプールと連動。

関連記事リンク


メインギアの構成は旧アンバサダーと良く似ています。



クラッチの構成は大幅に簡略化。



ネットを見ると、ベアリングを加工したり交換したりするユーザーが多いようですが、私は基本的に3/8oz以下のプラグは使わないのでノーマルでも特に不具合は感じていません。

旧アンバサダーとの最大の違い、シャフトレススプール。



スプールを軽く回転させる事と同時にベアリング径を大きくして支持幅を狭くする事で強度UPも両立している。

これと比較すると旧アンバサダーの支持距離が離れた自動調整φ3ベアリングは頼り無く見えてしまう。

太軸スプールでナローボディーなので、フレームの狭さが強調される。



旧5000系と比較すると部品点数が少なく、整備性は良い。



旧5000ユーザーの中にはパーミングカップモデルやウルトラキャストシステムに辛口の方々もいらっしゃるようですが、個人的にはこの様な正常進化は大歓迎。

唯一不満なのはサイドプレートに巻き付けられた、キンキラのロゴ付きシール。



何だか昔の日本製リールのチープな装飾を思い出す・・・

まあ、取ってしまえばスッキリするのは判っているんですが、大昔に買ったミッチェル408のボディーに貼られた各シールを剥がしてしまって、後からちょっと寂しい思いをしたので考え中。

関連記事リンク


控え目な刻印にしてくれれば、使い込む内に良い味わいを醸し出すようになると思うのだが。

樹脂製フットは軽量なだけでは無く、錆にも強い。
ハイスピードを活かして、今後は海で、ボートからのライトジギングにも使用予定。




  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(0)釣:リール

2010年03月21日

ファントム マグサーボ SS-10

今回は日本製のエポックメーキングなリールを紹介。

ダイワのファントム、マグサーボSS-10です。



今でこそ日本製のハイスペックリールが世界を席巻していますが、私がルアー釣りを始めた70年代、日本製リールは性能、デザイン共に欧米製には全くかないませんでした。

70年代後半になってからスピードスプールが発売されて日本製リールの評価が上がって来る訳ですが、スピードスプールは日本で制作はされていましたが基本設計やコンセプトは共同開発したアメリカのルー社が主導したのではないかと思いますので、厳密にはジャパンオリジナルとは言えないと思います。

70年代末、シマノはスピードスプールの機構を継承したバンタムシリーズをリリース、日本国内の釣り具市場へ進出。
低価格で高性能と言う日本工業製品の優秀さで老舗のABUを追従していました。

同じ頃、ダイワは70年代に製造していたABUのコピーリールから脱却。
シマノのベイトキャスティングリールと同様のコンセプトを持つファントムシリーズで対抗しました。

当時のファントムシリーズですが、私的にはABUのコピー品からシマノのコピー品に変わっただけ・・・と言うのが正直な印象でした。
ルアーにしてもリバーラントのイミテーションのコネリーだとか、オークラのコピーのクルセイダーを販売(クルセイダーは今も売っていますが)していたので、他社の後追いをしている二流企業と言うイメージを持たれてしまっても仕方が無かったのではないでしょうか。

関連記事リンク:へドン ミジェットディジット リバーラント スプーク
関連記事リンク:へドン ディープダイブ リバーラント
関連記事リンク:ダイワ クルセイダー

実際、ファントムシリーズの売り上げはあまりパッとしなかったのではないかと思われます。

ダイワの技術者や経営陣は焦っていたでしょうね。

それまでのダイワの販売戦略は、他社と同じ様な物を安く売ると言うスタンスだった訳です。
しかし、シマノが売れていたのは低価格だけでは無く、デザインや機能が他社(ABU)とは違う革新的な商品だったからです。

どうしたら老舗のABUや新鋭のシマノに並び、あるいは抜き去る画期的な商品が造れるのか?

当時、ベイトリールのバックラッシュ対策はメカニカルブレーキと呼ばれる摩擦式の物と、遠心ブレーキと呼ばれる回転抵抗式の2種類を併用するのが一般的でした。

メカニカルブレーキは釣り場でもダイヤル式のネジを締めたり緩めたりして調整可能です。
一方、遠心ブレーキの調整は、リールを分解して遠心ブレーキのブロックを交換しなければなりません。
交換すると言っても、大きさは2~3種類、数は1個か2個で組み合わせるので細かな微調整は出来ません。
しかも、ブロックは大変小さな上に落下し易いので、釣り場でバックラッシュを解消する為にリールを分解していると大抵無くしてしまいます。
殆どの釣り人は一日中同じブロックの組み合わせで遠心ブレーキを使っていた事と思います。

そんな中でダイワの技術陣は、遠心ブレーキに代わる全く新しい機構を考え出した訳です。

電磁誘導ブレーキの登場です。



釣り用のリールとはどう考えても結び付かない誘導起電力をブレーキに使うと言うアイディアが素晴らしいですね。

その時歴史は動いた!とかプロジェクトX!的な当時としては画期的な発明だった訳ですよ。

結果として、ABUもシマノもダイワの真似をして電磁ブレーキを搭載したリールを発売する事になったのですから。
他社の真似をしていた会社から、真似をされる会社になった訳です。

この発明が無かったら、今でもダイワは2流メーカー、あるいは釣りブームの終焉と共に無くなっていたかも知れません。

当時の価格は1万数千円だったでしょうか?
ABUが4万円近い価格だったはずなので当然大ヒット商品になったと思います。

私も販売と同時に購入しました。

マグサーボの発売が82年だったようですが、私がバイクに乗り始めたのが丁度その頃。
バイクのフロントフォークに購入したばかりのカーボンの2ピースロッドを括り付け、マグサーボを持って奥多摩湖に通っていました。

最近はあんまり使っていませんが、今でも現役。

ボディー左のダイヤルが電磁誘導ブレーキの調整装置。



目盛りは10段階、0がブレーキ力が弱く、10は最大。
ルアー重量によって調整するのですが、私はルアー重量に関係無く大体2で使っています。

肝心のブレーキ性能ですが、個人的にはABUの遠心ブレーキと比較してそんなに大きな違いは感じられませんでした。
元々私はサミング重視のキャスティングで、ABUの遠心ブレーキも最弱状態で使い、メカニカルブレーキにもあまり依存しないので違いが実感できなかったと言う事でしょうか。

左サイドプレートは樹脂製。

寒冷期でも冷たくならないと言うのはメリット。

ABUと同様、メカニカルブレーキも装備。



2-BALL BEARINGS。



この頃からベアリング数を表示し始めたんですね。

ボディーシェイプやクラッチを切るとレベルワインドがスプールから切り離される機構はスピードスプールと同様です。

ハンドルは高級感溢れる?ウッドノブが標準ですが、ABUの4500Cに付いていた大型のダブルハンドルに交換してあります。

関連記事リンク:ABU アンバサダー ロイヤルエキスプレス



スタードラッグは5本、プラス、マイナスがペイントしてある。

それではこいつもメンテナンスのついでに分解してみますか。



ハンドルナット部分の作りはアンバサダーと同様。



アンバサダーはEリングを使っているのにマグサーボはC型のリングで小さなワッシャーを止めてある。



Eリングは精密ドライバーの先端で外し易いのだが、こいつは外し難くてはめ難い・・・紛失注意。

サイドプレートの固定はABUの2000番同様ネジ2本。

関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C



遠心ブレーキのブロックが無いのですっきりとしたスプール軸周り。



ドラム状の突起が遠心ブレーキのローター部分。



左サイドプレート内部には深紅に輝くマグネットが収納されています。



左のサイドプレートは小型のネジ5本で固定されています。



調整ダイヤルの裏はこんな感じ。



マグネット部分は中と外に分かれていて、間にスプールのローター部分を収納。
調整ダイヤルで外側のマグネット部分を動かしてブレーキ力を調整しています。

レベルワインドはEリングとワッシャで固定されています。



レベルワインドはリング状のガイドが付属、ラインの抵抗軽減を狙っています。



もっとも穴が小さいので、ABUと比較するとラインを通し難いのですが。

レベルワインドのカバー部分は腐食が・・・この時代は明らかにABUの方がメッキが良いですね。



まあ、私のメンテ不足が最大の要因と思いますが。

現在の最新型と比較すると拍子抜けする程シンプルな内部構造。



マグネットの内側はフレームから外れない。



マグネットの外側。



色分けした小さな円柱状の磁石が幾つも入っています。

メカニカルブレーキの構成はABUと同じ。



全体の作りを見ると、やはりABUの影響を所々に感じられる・・・



シマノのリールは持っていないのだが、この時代のバンタムとの類似点もあるのか?
細かなワッシャーが複数使ってあるのだが、クリアランス調整用のシムとしているように思える部分も・・・?
この辺はもう少しすっきりとした造り込みにして欲しい所。

後は組み立て時にスタードラッグがネジ込み難い。



板スパナが無いと結構面倒。

個人的には心に残るリールが3つあります。

パーミングカップ一体のロープロフィールデザインとキャスティング時にスプール回転とレベルワインドを切り離す機構を装備したスピードスプール。
サムバーシステムを最初に装備したABU5600C。
そして電磁ブレーキ装備のファントム SS-10。

関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C



現在のハイスペックリールは、これらのリールが誕生して無ければ、全く違う構造になっていたかも知れない。

SS-10誕生からもうすぐ30年。

最近のリールも確かに年々改良は続いているけれど、一目見て、ウオッ!とかスゲェ!と吃驚するような新製品ってあんまり無いんだよね。

そろそろ全世界が驚愕する、従来のシステムとは全く異なる新機構が搭載されたリールが発売されても良いのじゃないか?

まあ、どんなに素晴らしい製品でも、あんまり高いと買えないので、安くて高性能な物を是非。


  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(4)釣:リール

2010年03月20日

ABU アンバサダー 5600C

今回のネタはABU5600Cです。



ABUの中型マルチプライヤーリール、世界初のサムバー搭載モデル。



77年製。



ローギヤの1750Aに嫌気が差して、ハイスピードの2500Cか5500Cを購入するつもりで、汗ばむ手にアルバイト代を握り締めて向かった都内の有名釣具店のショーウィンドー。

関連記事リンク:ABU 1750A
関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C

怪しく黒光りしたボディーに深紅のサムバーが付いた新製品、ABU5600Cが燦然と輝いていました・・・
実物の5600Cを見たのはその時が初めて。

確か、5500Cより割高で予算オーバー気味だったのですが、最新式のサムバー搭載モデルを見たら、如何にも旧型と言う感じの5500Cは買えないじゃあないですか。

購入後、バス釣りのメインリールとして長きに渡って活躍。

トップウォータープラグ用のリールとしては2500Cにその座を譲り渡しましたが、現在は海のボート釣りで活躍しています。

最大の特徴は、やはりサムバーです。

従来のベイトキャスティングリールは、キャスティング時に親指でスプールを押さえてから、もう片方の手でサイドプレートやハンドル部分のクラッチボタンを押す必要がありました。

イージーキャストと言うのはリールメーカーの不変の開発テーマのようで、当時、ABUだと究極のイージーキャスティングリール、ABU500シリーズや、ミッチェルのスピニングでも、キャスト時にベールが自動でオープンするギミック搭載モデルが発売されていました。

関連記事リンク:ABU506
関連記事リンク:ミッチェル408

ABU500シリーズもミッチェルのベールオープン機構も現在は残っていませんが、サムバーは他社でも次々と同機構が搭載され、いまやサムバー付きで無いベイトリールを探すのが難しい位です。

5600Cの先進性が光りますな。

サムバーが付いている以外は、ABU5000シリーズと同じ造りです。

購入直後にダブルハンドルに交換した以外はフルノーマル。

30年以上の歳月で、目にも鮮やかだった深紅のサムバーが白くなってしまっています・・・



最近知ったのですが、このサムバーにクラックが入って壊れるトラブルが結構あるとか。

私の5600Cは幸い無傷。



サムバーが破損するとフレーム交換になってしまうらしい・・・

現在では大きく感じられるボディーですが、当時はこいつでバスだけでなくトラウトも釣っていました。
と、言うか2500Cが1975年に出るまでは1750Aを除けばABU5000系が一番小型のベイトリールだったのです。
70年代では2500Cユーザーは、まだ少数派だったと思います、

又、ABU5000系を海釣りで使用されているユーザーも多かったと思います。

船のカワハギ釣りに使われる事が多かったようです。
当時の日本製の両軸リールは海釣りで過酷に使われると耐久性に問題があったのでしょう。
70年代の『つり人』の記事だったと思いますが、カワハギ釣りに使ったアンバサダーをメンテするのにミシン油(死語?)にリールをドブ漬けすると言うのが紹介されていたのを思い出します。

ハンドルは180度回転でクラッチON。

2500C同様、ドラッグが逆転する時はカチカチ音が出ます。

それでは例によってメンテナンスを兼ねて分解してみます。



ハンドルナット周りの構成は近代のABUベイトリールでも全く同じ。



ハンドル下のワッシャは大分草臥れています・・・



右サイドプレートの取り外しはネジ3本。



遠心ブレーキは例によって小型の物を1個だけ使用。



左右サイドプレートのボールベアリングはキャップを外すだけで取り外し可能。



外周が太鼓型になっています。



ベアリングの外周を完全に固定してしまうと軸が微妙に振れた時に回転の抵抗になってしまいます。
自動調芯タイプを使用しているのは回転を軽く保つ為の工夫なのでしょう。

小型のネジ3本外して左サイドカバーを開けると中にはサムバー押し上げ用の捩じりバネが入っているので脱落注意。



レベルワインドはスプールと連動、構造的には他のアンバサダーと変わりません。



設計の新しい2500Cと比較して、樹脂パーツが少ないのが良く判ると思います。



通常のメンテナンスではレベルワインド駆動用のプラギアにグリスを塗布。



右側のベアリング収納部にオイルを注入。



メカニカルブレーキ収納部のベアリングに注油。



レベルワインドに注油。



グリスの塗布以外は右サイドプレートを分解しなくてもメンテナンスが可能になっています。

手持ちの中でも、もっとも使用頻度が高かったリールで愛着の有る品だが、今となってはベースとなっている旧5000系の設計の古さが気になる。
旧アンバサダーはボールベアリングがサイドプレートの外側でスプールシャフトを支えています。



2500Cや、ウルトラキャスト以降のスプールにベアリングが入っているシャフトレスタイプと比較すると、支持部の距離が倍近い。

関連記事リンク:ABU アンバサダー ロイヤルエキスプレス
関連記事リンク:ABU アンバサダー 4600C クラッシック
関連記事リンク:ABU アンバサダー SM1600C

5600Cのベアリング軸はφ3mm。
1975年発売の2500Cは軸径はφ5mmになっています。(ウルトラキャスト系5000はφ4mm)
断面積で見ると5600Cは7.1㎟、2500Cは19.6㎟なので約2.8倍(ウルトラキャストは12.6㎟、約1.8倍)。

しかも自動調芯ベアリングは軸の固定が自由支持となり、一般的な円筒型ベアリングは固定支持と考えられるのでこれだけで旧5000系の軸の強度は2500Cの半分になる計算です。

一見5600Cと2500Cでは5600Cの方が頑丈に見えますが、単純に計算すると旧5000系のスプールシャフトの強度は2500Cの1/10以下と言う事か・・・

私は旧6000系は持っていないのですが、単に5000系をワイドスプールにしているだけだったと思います。
ベアリングの支持部が離れる程強度は低下しますので、推測になりますが6000系は5000系より更にスプールシャフトの強度が落ちるはず。

古いABUのリールは頑丈・・・と言うのが一般的な認識では無いかと思うのですが、基本的に昔のリールの設計はPEラインの強度が計算に入って無いので、太いPEラインを使ってドラグを強く締めると壊す事になると思います。

実際、私はPEラインでカーディナル44のシャフトを曲げてしまいました。

関連記事リンク:ABUカーディナル33&44

まあ、機械部品はトータルバランスが大切なので部分的に強化しても他の部品が壊れる事もあるのですが・・・

最近のアンバサダーは、ドラグがフルロック出来ない物があるようですが、恐らくPEラインによるリール破損の回避目的も有るのではないでしょうか?

昨今はリールのチェーンナップが流行しているようで、旧5000系もベアリング交換されているユーザーの方がいるようです。
単に樽型ベアリングを円筒型ベアリングに交換してしまうと軸受の芯ズレの逃げが無くなるので色々と不具合になりそうな気もするのですが・・・

そもそも、旧5000系に遠投性能を求めるのは荷が重いのではないかとも思います。

海水を浴びているのと、私のメンテナンス不足もあって一部塗装が傷んでいる部分もありますが、30年以上使っていてこのコンディション・・・当時の素材、メッキ、塗装に手抜き無し。



無理な使い方をしなければ、多分、後30年位は普通に使えるはず。

重さだけはどうにもならないが・・・




  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(0)釣:リール

2010年03月14日

ABU アンバサダー SM1600C

今回紹介するのはABUのSM1600Cです。



90年代中頃、海外通販で購入。



国内でも販売されていたと思いますが、一部仕様が違うかも知れません。

90年代に入ってから、海外通販のカタログに怪しい釣り糸が登場しました。
70年代末のカーボンロッド登場に匹敵する、釣りを劇的に変化させる技術革新!

PEラインの登場です。

関連記事リンク:バークレー ファイヤーライン

ナイロンライン8ポンドの細さで30ポンドの強度と言う触れ込みで、最初は胡散臭いところもあったのですが、伸びが無くて感度が良い特徴を活かして、今ではジギングやエギングには無くてはならない存在です。

こいつは90年代にABUからPEライン対応としてリリースされたリールです。

刻印を見ると94年製造か。



レベルワインドの左右への振幅が早くなっていて、スプールへのPEラインの噛み込みを防止と言う触れ込みでした。



PEラインは細いので、ラインが強く引かれるとスプールに喰い込むって言われていた訳ですよ。

まあ、従来のアンバサダーでPEを使っても特に問題は出ないと思いますが。

他に幅が広いSM3600Cと言うのもリリースされていたと思います。

現在では特にPEライン用と言うリールは売っていないと思いますが、当時はスピニングリールでもPE用と言うのがリリースされていて、私はミッチェルのPEライン用ギミック搭載スピニングも購入していました。

関連記事リンク:ミッチェル 308X GOLD

ボディーがアルミ削り出しのワンピース。

軽量と剛性を兼ね備えた当時の最新型。

日本製リールの影響もあったのではないかと思います。

バス釣りだけでは無く、海釣りでも使っていますし、しばらく放置してあったので例によって分解して清掃します。
旧アンバサダーと比較するとスプール周りがキチキチで、分解しないと指も入らないので掃除がし難い。

ハンドルの樹脂製カバーに王室御用達マークが輝きます。



カバーを外すといつもの見なれたEリング。



精密ドライバーの先を使って外します。

ハンドルナットはいつもの10mmスパナで緩めます。



やはりスタードラッグと言う位なので5本有るとしっくりしますな。



1000,2000系と同様、プレートは2本のネジで固定されています。



旧アンバサダーと異なり、スプールシャフトとスプールは別体。



スプールシャフトはメカニカルブレーキのキャップで咥えています。



シャフトにかしめてある真鍮のカラーは、メカニカルブレーキの接触部分。



カバーを外すと中からギアユニットが顔を出します。



樹脂製フレームにギアやスプリング、カムが組み込んであります。



レベルワインドのフリー機構も一緒になっているので複雑。
特に不調で無ければ弄らない方が無難です。

遠心ブレーキのドラム部分。



遠心ブレーキは角断面の樹脂製で旧アンバサダーと異なります。
例によって小さいのを1個だけ使用しています。



旧アンバサダーのブレーキは円筒状の物で、スプールを外した時に落下、紛失し易かったのですが、簡単に脱落しないように改良されています。

スプールのベアリングはサイドプレートでは無く、スプール側に2500Cより小径の物が入っています。



回転抵抗を少なくする為に小径ベアリングを採用しているのだと思います。
2500Cのスプールシャフトがφ5mmだったのに対してφ3mmっていうのは少々細すぎるような気もするが、旧5000番もベアリング部のシャフト径は3mm。

関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C
関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C

シャフトはストレートな形状で集中応力が発生し難い設計。
ベアリングもスプールに埋め込んで有る分、旧アンバサダーよりベアリング支持部の距離が近くなっているので材料力学的には有利。
極端に強度が落ちていると言う訳では無いと思います。

もっともPEラインは強度があって伸びが無いので、根掛かりを外す時に無理な荷重を掛けるとシャフトが曲がる可能性が高いので御注意。

スプールを抜き取り、レベルワインドの分解。
ギアをサポートしているプレートのネジを外して抜き取ります。



レベルワインドのシャフトもEリングで固定されているので精密ドライバーで外します。



レベルワインドのシャフトの左右もボールベアリングで保持して回転抵抗を少なくしてあります。



もっともSM1600Cはクラッチを切るとレベルワインドは停止してスプールと縁が切れるので、ベアリングが入っている事とルアーの飛距離とは関係ありません。

スプールの回転抵抗を少なくする為にレベルワインドとスプールを切り離す機構はスピードスプール辺りから一般化したと思います。

SM1600Cはレベルワインドとスプールの距離が近いのでライン抵抗が大き目。

スピードスプールがスプールからレベルワインドをなるべく離すデザインだった事を考えると少々疑問が残ります。
張りのある太目のナイロンラインだと抵抗が気になりますが、しなやかで摩擦抵抗の少ないPEラインの使用が前提ならあまり問題にはならないのかも知れません。

6ボールベアリングだったか?



現在の最新型リールでは、ハンドルのつまみにまでベアリングが入っているので、最新型と比較するとたいした事は無いのですが、私の手持ちの他のリールはベアリング無しとか、入っていても2ベアリングなので購入当時はスムーズな作動に感心した物です。

フレーム内側のネジを外すと左側のカバーが外れます。



カバー内部にサムバーを引っ張り上げるスプリングが付いているので外しておきます。



こいつのサムバーは5600Cと異なり分解可能ですが、小型のEリングやスプリングが付いているので分解には部品を無くさない様に注意が必要です。



樹脂製のサムバーとピン2本、フレーム左右に樹脂製の受けが嵌め込んであります。



見た目は1750Aと変わらない大きさですが、内部にはパーツがぎっしり。



コンパクトなボディーなので重く感じる。



ライン付き実測で269g。
2500Cとほぼ同重量。

がらんどうになったフレームはアルミだけあって軽量。



パーツを磨き、注油しながら組み立てます。

ギアシャフトを受けるカバー部分に入っているローラーベアリングが通称ワンウェイクラッチ。
ローラーの受けの部分がくさびのような形状になっていて、一定方向に回転させる時は軸受となりますが逆回転させるとくさびにローラーが喰い込んでシャフトを締め付ける構造です。



インスタントアンチリバース(IAR)のかなめのパーツですな。
この部分はオイルでは無く、粘性の有るグリスを注油しておきます。

他にオイルを注入するのはハンドルシャフトのEリング部分



スプールのベアリング



レベルワインド。



リールフットがボディー内部に入り込むような設計になっていて、今時のブランクスルーのグリップを持つロッドとの相性も良い。





こいつの唯一の弱点は、飛距離UPを目的にスプールを軽量化、小さくし過ぎた事。

私の指だと大き過ぎて、ピンポイントを狙うような微妙なサミングがやり難い。



その代わり遠投して広くポイントを探るような釣りには向いています。
もう少し軽いともっと良いと思うんだが、この機能だと後は樹脂化を進めるしか無いのかなぁ?

後はボディーのロゴを印刷では無く、刻印にすれば質感が上がると思うのだが。

ボディー上部にモデル名が印刷されていたのだが、摩耗してしまって、もう読めない。



さて、ABUの小型マルチプライヤー3種、1750A、2500C、SM1600Cと紹介しましたが時代による構造の違いがお判り頂けたでしょうか?

関連記事リンク:ABU 1750A



1750Aと2500Cの間には約15年、2500CからSM1600Cの間には約20年の基本設計の違いがあります。



まあ、趣味の道具なので人によって好き嫌いは有るでしょうが、SM1600Cが機械としては一番優秀です。



最初は従来のABUとは全くデザインや機構が違うので面食らったところもあったけれど、やっぱり旧アンバサダーと似ている所も沢山あって、これは正常進化と言って良いのではないだろうか?



もっともこいつも既に15年位の付き合いなので、そろそろ最新型を買っても良いとは思うのだが・・・取り敢えず手持ちで間に合っているので中々新しいのは買えないんだよね・・・

と、言うよりは先立つ物が無いのだが。



関連記事リンク

  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(4)釣:リール

2010年03月13日

ABU 1750A

今回紹介するのはABUの1750Aです。



70年代購入。

730101と刻印があるので73年製。



当時のABUのマルチプライヤーリールのラインナップでは最安値、5000番系が4万円位だったと思いますが半分以下の価格で購入できたと思います。

関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C

ABU2500Cが75年に販売されるまでは、ABUで唯一の小型マルチプライヤーリールでした。

関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C

アンバサダーの入門用として、最初に買われた方も多かったのではないでしょうか?



スウェーデン王室御用達の冠マークは付いていません。

スタードラッグの無いシンプルなハンドル回り。



ダイレクトドライブリールです。

大昔のダイレクトドライブリールだと、キャスティングの時にハンドルが逆転する物が多いと思いますが、こいつはハンドルがフリーになります。

ハンドル中央のカップがスプールのクラッチ。



クラッチを切らなくてもラインを引っ張るとハンドルごとスプールが回転するので、ロッドにルアーをぶら下げて移動する時にはフライリールの様にクリックを掛けておきます。



生き餌を使って置き竿にして、ハンドルをフリーにしてクリックを入れておけば、魚が掛かった時に音で判る仕組みです。

ハンドルが逆回転するのでタナ取りが容易な為、当時はルアー用としてだけでは無く、クロダイの落とし込み釣りでも利用されていました。

軸受部分はボールベアリングでは無く、ただのブッシュ。
レベルワインドがスプールと連動して動くのと、メインギアも共回りするので、あまり回転は良くありません。

赤いボディーが凄く格好が良かったのですが・・・

当時はバス釣りでも高価なプラグは根掛かり怖くて、比較的安価なスプーンを使う事も多かったのですが、こいつは巻き取り速度が遅い。

沈むスプーンは必死で巻き取らないと根掛かりしてしまう事もあり、どうしても忙しい釣りになってしまいます。

間も無く5600Cを購入した事もあり、全く使わなくなってしまったのですが・・・

90年代に入ってから復活!

手首を痛めてから小型軽量の1750Aを思い出して使ってみたら非常に具合が良い。
サミングし易い形状で、あまり回転が軽すぎないスプールは大型のプラグを投げるのに向いている。

ライン無し、実測181g。



カタログ値で2500Cが250g、5600Cが330gなので格段の軽さ。

巻き取りスピードが遅いと言う欠点も、トップでプラグを使う分には全く気にならなかったのですが・・・

例えばポッパーを使う様な場合、岸ギリギリにキャストしたら精々2、3回ポップさせたら後はルアーを回収する為に巻き取る訳ですが、夕刻のワンチャンスに巻き取りスピードが遅いと気が焦る。

私の様に心に余裕の無い人間には向いていないんですかねぇ?

結局他のリールも色々試して現在トップ用リールは2500Cで落ち着いている訳ですが、もう何十年か経過して、現在より更に体力が落ちた場合は再登板の予定・・・?

それではこいつもメンテナンスを兼ねて分解してみましょう。

一応念の為申し述べて置きますが、古い機械(リールやバイク等)は調子が悪くなければ無理に分解する必要はありません。
又、使用する工具はせめてJIS規格準拠の物を使って下さい。

基本的に樹脂パーツにはCRC-556は使わない方が無難です。

まずはハンドルをフリーにするアルミのキャップボタンを外します。
シャフトにネジ込んであるだけなので、ハンドル側から見て反時計回りに指で回します。



内部にはスプリングが押し込んであるので脱落に注意。

ABUの他のマルチプライヤーリールのハンドルは、ナットの緩み防止のプレートが付いているのですが、こいつは緩み防止は何も無し。

まあ、使っていて緩んだ事はありませんが。

10mmのスパナでナットを外します。



社外製の大型ダブルハンドルの装着も可能だと思いますが、ギアやシャフト等に負担が掛かる可能性があります。

多分、大型ハンドルは似合わないと思うけれど。

サイドプレートを外すとこんな感じ。



メインギア周辺。



スプール用とレベルワインド用のギアがハンドルシャフトと一体になったシンプルな構成。

アンバサダーと同様にメカニカルブレーキと遠心ブレーキを装備しています。
遠心ブレーキのドラム側は真鍮製。



遠心ブレーキは小型の物を1個使っています。



ボディーサイズの割には大型のスプール。
センターにスリット入り。



レベルワインドを分解します。
キャスト時レベルワインドはスプールと連動します。



メカニカルブレーキのキャップを外します。
アンバサダーのメカニカルブレーキは燐青銅の板でスプールのシャフト端部を押さえる事で抵抗を与える構造になっていますが、1750Aはラバー付きの樹脂製ブッシュで押すようになっています。



又、フレーム側のネジ部には緩み止めのスリットが入っています。

ベアリングだと空間部分が多いのでオイルを保持する量が多いが、ブッシングだとオイル溜まりが少ないので、ハンドル側のブッシュカバー内部にはフェルトが入っていてオイルを長時間キープする構造になっています。



クリック部分をフレーム内部から見るとこんな感じ。



2500Cと比較すると部品点数が少ないのが良く判ります。



ドラグが無い事や、クラッチ機構が単純な構造になっているので小型軽量、トラブルも少ない。



大分汚れているのでクリーニング。
研磨剤の入っていないケミカルを使用します。



こうやって見比べると2500Cが1750Aの発展型であるのが良く判ります。



シャフトの配置が良く似ています。



スプールの比較。
上の大きな方が1750A、下が2500C。
巾も径も1750Aの方が大きく、サミングし易い形状になっています。



2500Cだとラインの上をサミングしてキャスティングする事になりますが、ラインが引き出されて行くとスプール径が小さくなるので親指で無意識の内に押さえ方を調整している訳ですが、1750Aはスプールの盛り上がったサイドプレートを押さえてサミングするので、ラインのコンディションにコントロールが左右されないと言うメリットはあると思います。

リール全体で大きさを比較すると2500Cの方が大きいんですがね。



もっとも2500Cと比較するとフレームが弱く、こいつもプレートが何度か歪んでいます。
プレートにスプールの擦れ傷が・・・まあ、指でグイッとやれば治るんですが。

最近のリールは高級機種になると回転部分の殆どにボールベアリングが入っていますが、こいつはベアリングは1個も無し・・・それでも普通に釣りが出来る事を考えると10ボールベアリングとか搭載した最新機種は過剰装備?



トップウォーター用のリールならベアリングレスでも構わないと思うので、現在の技術でシンプルな超軽量リールを作って貰えないだろうか?
スプールが大き目でキャスティングし易く、巻き取りスピードが速い奴。
ダイレクトじゃあ無くて、ちゃんとしたドラグ付きの奴をお願いします。



言うまでも無い事ですが、工業製品は新しい物の方が絶対的に性能が優れています。

私は昔からABUを使っているので不自由は感じていませんが、近年の日本製リールしか知らない方には使い勝手が悪いはず。

このブログでは古い道具の紹介もしていますが、私は懐古趣味で古い物を集めている訳ではありません。

基本的に私が購入した当時は現行品や最新型だった物です。

キャリアだけは長いオッサン(私の事)が、しょぼい中古品を見せながら、何処かで聞いたような薀蓄をブログに書いているのを見ると、惑わされて自分も古道具を買ってみようと思う人もいるのではないかと思いますが・・・

前にも似た様な事を書きましたが、特に若い人は古いABUなんて買う予算があったら、現行品、最新型、できればハイエンド商品を良く吟味して購入する事をお勧めします。

いつの間にか何十年も使っていた・・・運が良ければそんな逸品に出会えるはず。


  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(4)釣:リール

2010年03月07日

ABU アンバサダー 2500C

前回ロッドを紹介したのでついでに幾つかリールを紹介しておきます。

関連記事リンク




ちなみにネット上にはリール関係を細かく研究されているサイトが星の数程あって、散々語り尽くされた感じもあります。

私の場合は特に変わった物を使っている訳では無いし、基本的に無改造。

参考程度に御覧下さい。

これは現在バス釣りのメインで使っているABU2500Cです。



90年代初頭に購入したのですが、リールのフット部分の刻印を見ると89年製のようです。



当時私は仕事で札幌に住んでいました。

北海道って言ったらニジマス、雨鱒、ヤマメ等トラウトの聖地。

何と言っても野生のイトウが生息しています。

札幌から猿仏迄は片道350km位あるのですが、シーズン中は毎週末に、時には日帰りで通っていました。



関東で使っていたルアータックルでは大型のイトウ狙いに全く向いていなかったので、道内の釣具店で専用品を幾つか購入。
フェンウイックの9フィート、ダブルハンドルのサーモン用ベイトロッドを購入したのですが、当時使っていたABU5600Cだと軽量なフローティングのプラグを投げるには少々辛い。

関連記事リンク



90年代前半だと国産リールの性能も上がって来ていたと思いますが、私の年代だと釣りキチ三平の『イトウの原野』の強烈な記憶が残っている事もあり、やっぱりアンバサダーでイトウを釣りたいじゃあ無いですか。

まあ、三平君は魚紳さんから貰った5000Cを使っていたんですがね。

定価は35000円だったと思いますが、セール品を購入。



当時はオリムピックで取り扱いを始めたばかりだったかな?



購入直後にダブルハンドルに交換した以外はノーマルです。



ちょっと調べてみたら2500Cが販売されたのが1975年のようです。
当時、雑誌に載っていた宣伝キャッチコピーは、『3gのルアーを投げられる』と言った物ではなかったかと記憶しています。

購入当時はマグネットブレーキを装備した日本製が台頭していた訳ですが、こいつは昔ながらの遠心ブレーキとメカニカルブレーキのみ。



これならラパラのF13を楽々投げられるのではないかと期待していたのですが・・・やはり風が有るとベイトリールじゃ辛い。
流れの有るポイントで釣りをしている時に何かの加減でバックラッシュしてしまうとルアーが根掛かりしてしまう事もあり、結局スピニングタックルを多用する事に・・・谷地坊主がトラブルフリーのABU507を使っていた理由が良く判る。

関連記事リンク
2010/04/17


関東に戻って来てからはバス釣りに使用。

バス釣りには長年5600Cを使っていたのですが、手首を傷めてしまい、それ以降は軽量な2500Cをメインで使うようになりました。

手持ちの中には、もっと軽いリールもあるのですが、キャスティングの精度やトータルバランスでは2500Cが一番だと思っています。
リールの大きさや、適度に広いスプールが私の手に合っているのでしょう。



ラインとダブルハンドル付きで277g。
5600Cだと340g以上・・・重量差は60gですが、実重量の差以上に軽く感じられるのは腰が低い為か?

近年のアンバサダーはアンチリバースとなっていてスプールのガタ付きがありませんが、こいつはクラッチが繋がっていても前後に少し動きます。

ちなみに2600Cと言うサムバー付きのモデルもあって、手返しの早さと言う点ではサムバー付きに軍配が上がると思います。

もっとも私は右手に左手を添えて親指でリールのクラッチを切る『儀式』は嫌いじゃあないんですけどね。

次のポイントを狙う時に気持ちを切り替える『スイッチ』的な効果があると思うのですが。

ルアーをピックアップして次のポイントを見定める。

何処に落とすか、考える。

サムバー付きだと頭で考えるより先に腕が動いてしまう事ってありませんか?

久し振りにメンテナンスしてみますか。



トレイは100円ショップで購入、必要な工具は10mmのスパナとマイナスドライバー大小、ラジオペンチ。
リール付属の板スパナは緊急用なので普段のメンテナンスには使わない方が吉。



当時の分解図も残っていますが、図面が小さくて見難い。



品番だけで部品名は載っていません。

何のリールに付いていたのか忘れましたがABUリールの総合お手入れマニュアル。



アンバサダーとカーディナル、アブマチック、500シリーズ、ディプロマットのメンテナンス方法が記入されています。

関連記事リンク




エビスフィッシングも既に廃業してしまっていると思いますので内容を一部抜粋しておきます。
著作権等問題有る場合は御連絡願います。

①かたくしぼった布ぎれによるふき掃除
②水洗い
③オイルとグリス





基本的にギア部分はグリス、その他はオイルを塗布するように指示されています。

グリスは一般的なスプレーグリス、オイルは純正を使用しています。



まずはハンドルを外します。
ナットを外すスパナは10mm。

Eリングの部分にオイルを注油。



メカニカルブレーキのキャップを外し、ベアリングに注油。



レベルワインドに注油。



5000系はハンドル側プレートの取り外しネジが3本なのだが、2000系は2本。



スプールを外します。



ハンドル側のフレームのベアリングのカップは5000系と異なり固定されているので、右側のユニットを外さないとベアリングに注油できません。

遠心ブレーキは一番小型の物を1個だけ使用しています。



こいつは使っているうちに摩耗しますので、定期的に交換が必要。

色々な機種のが混じっていますが、これは数年前に購入した予備の遠心ブレーキ。



最近、フィルムの空ケースって無いよなぁ・・・

遠心ブレーキの当り面も結構摩耗しています。



ブレーキカスやゴミを拭き取っておきます。
ちなみに遠心ブレーキを効果的に使う為には、この部分には注油しない事。
2500Cは旧5000系とベアリングの支持位置が異なっていて、ベアリングにオイルを付け過ぎるとブレーキドラムにオイルが回り易いので注意。

通常のメンテナンスなら、これで終了。
今回は内部のグリスUPをするので更に分解して行きます。

念の為申し添えておきますが、特に調子が悪く無ければこれ以上分解しない方が吉。

Eリングを外すには精密ドライバーを使ってこじる様に外すと飛ばし難い。



カバーを外して内部を分解して行きます。

表裏どちらからでも組める部品は分解前に並び方や向きが判るように写真を撮る。



デジカメが無かった昔はイラストを描いたものですが、便利な時代になりましたね。

相当グリスが硬化しています。

このリールの心臓部、メインギアとドラグ。



取り敢えず汚れを落として古いグリスを拭き取ります。



左のカバーを固定しているネジは緩めても脱落しないようになっていたり、旧5000系と比較してもパーツが少ないのでメンテナンス性は良好。

5000系と異なり2000系は内部に樹脂パーツが多用して有るので、グリスを落とす時に浸透性の強いケミカルを使うとクラックが入る可能性があります。
特にCRC-556は使わない方が良いと思います。

シャフトやギア周りにグリスを塗りながら組み立てます。
ABUのリールは材質が真鍮等の柔らかな金属で出来ている部品も多いので、ネジを強く締め付けると壊す可能性があるので注意。



75年の発売当時は5000系のサイズダウン版と言うイメージがあったのですが、実際中身を見ると旧5000系とは格段に進化を遂げているのが良く判る。

一番の改良点はスプールと、スプールを保持しているベアリングの位置。
スプールのシャフト径がφ3からφ5に太くなっている上にベアリングの位置をスプールギリギリ迄寄せる事で強度が大幅にUPしている。
後年リリースされるウルトラキャスト系のスプールにベアリングを組み込む手法に繋がっている訳ですな。

関連記事リンク



パーミングカップ化以降のアンバサダーは、メカニカルブレーキの調整をハンドル側で行う訳ですが、ドラグが邪魔で調整し難い。
その点2500Cはメカニカルブレーキの調整が容易、昔ながらのダイヤル表示も良いですな。
2500Cは比較的近代的な設計で、強度と使い勝手という新旧アンバサダーの良い部分を併せ持った名機だと思う。

2500C、最近釣具店であんまり見かけないなぁと思っていたら、いつの間にか廃番になっていた模様。

まあ、基本設計が35年も前のリールなので当然ですが。

今でも私の様なオッサンには人気が有るようで、できれば部品だけでも長く流通して欲しい物だ。

ロッドは消耗品なので10年位で買い替えるけれど、リールは無茶な使い方をしなければ一生物。


  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(2)釣:リール

2010年03月06日

フェンウィックHMG GC555

先日ちょっとタックルを紹介したので、ついでに現在トップウォーター用としてメインで使っている竿を紹介しておきます。

昔のロッドも数本残ってはいますが、リールと違ってロッドは消耗品。
流石に30年前の竿は腰が抜けて使い物になりません。



現在トップウォータープラグ用のロッドって言うと、ベロンベロンのグラスで金属製のオフセットハンドルが付いているのが一般的ですが、実際の使い勝手ってどう思います?

グラスの重いブランクのバランスを取る為だと思うけれど、リールもABUの5000番クラスをセットする事が多いと思うのですが、グラスのブランクに金属ハンドル、更に大型リール。

関連記事リンク:ABU アンバサダー5600C

総重量が凄い事に・・・重くて肩が凝っちゃわない?

グラスロッドがいまだに使われているのはその昔に販売されたスーパーストライカーFO-60の影響が後を引いているのですかねぇ?
グラスじゃあないと、プラグに微妙なアクションが付け難いって言う触れ込みだった訳ですが・・・

確かに昔のカーボンは、張りが有り過ぎて『金属的』なんて表現をされる事もありました。
グラスと比較するとアクションの付け方なんかに使い難い部分もあったかも知れませんが、現在では技術革新でカーボン素材でも自由自在に調子が変えられるので、今更重いグラスを使うメリットって殆ど無いと思うのですが、何故か今でもトップ用ロッドって言うとグラスを売っているんだよね。

ロッドに組み合わせるオフセットハンドルもイマイチ良いのが無い。



その昔購入したチャンピオングリップは普通にリールを付けたり外したりしてたらリールの固定用ネジが馬鹿になった・・・
リールの相性もあると思うのだけど、固定が不安定だし、何より金属ハンドルは重すぎる。

富士のグリップはリールはガッシリ止まるが、見掛けと違って意外と重いんだよねぇ・・・チャンピオンが180g位じゃないかと思うのだが、富士もそんなに軽い訳じゃあ無い。



それに富士は強度に不安があって、以前オーバーヘッドでキャスティング中、手首を返した瞬間に握りとトリガーの段差の部分から真っ二つに折れた事が・・・
ABUの5600Cを使っていたので親指がサムバー、人差し指がグリップのトリガーに引っ掛かったので落とさなくて済みましたが、危なくタックルを津久井湖に奉納する所だった。



まあ、何十年も前の話なので、現行は強度がUPしているのかも知れないが。

いずれにしても、単に見た目重視の機能が伴わないグリップじゃあ買う気がしない。

現在の技術ならカーボン一体成型とかで、強靭で軽量、ハイセンスなデザインのオフセットハンドルが出来ると思うのだが、心に響く様な優れ物は無いんだよねぇ。

上記スーパーストライカーが発売された辺りから※※専用ロッドって言うのが出始めたんじゃあないかと記憶しているのですが、そもそもトップウォーター用の専用ロッドが本当に必要なのか?って話になるんですが・・・

私は90年代に入ってからは、タックルの殆どをアメリカのバスプロショップスやカベラスから通販で購入しています。
実際日本より遥かにバス釣り人口が多いアメリカの市場ですが、トップ用って銘打って販売しているロッドって見た事が無いのは、アメリカじゃあ需要が無いって事じゃあない?

まあ、普段私が使っているのは大雑把な造りのルアーばっかりなので大雑把なタックルでも問題無いだけなのかも知れないですが。

以前に国内で購入した金属製オフセットハンドル付きのトップ専用ロッドも持っています。

流石にグラスは買う気がしなかったので軽量なカーボンブランクの物を購入したのですが、やっぱり金属グリップが重い!
手首を痛めた事もあって、現在では殆ど出番がありません。

それじゃあ今、どんなロッドを使っているかと言うと、カーボンのブランクがグリップエンド迄貫通している現在では一般的な仕様のロッドです。



フェンウイックHMG GC555。



私位の年代だと、HMGと言うのは特別なブランドでした。



90年代に海外通販で購入。

確かセール品を格安で購入したはず。

実は先日までBPSで同系のHMGロッド、定価120ドル弱が50ドル弱!!!のセールをしていたので、もう1本買おうと思ったのだが、あっと言う間に売り切れた・・・

幾分ファーストテーパーなロッドですが、キャスティングのコントロールがしやすく、近距離でピンポイントを狙い打つには大変使い勝手が良い。

長さは5フイート6インチ、フロートチューブ用として販売されているロッドはもう少し短い物が多いけれど、私はリーチが長いので右手でグリップを握った状態で左手がロッド先端迄届く。

関連記事リンク:ABU アンバサダー2500C



ルアー負荷表示は1/4~3/4oz。

私が普段使うプラグは5/8~3/4oz。
これ1本で殆どのプラグを使っています。

ザラをハイテンポで引く事も出来るし、ラッキー13をネチネチ動かすにも不自由は感じません。

関連記事リンク:へドン(HEDDON)オリジナルザラスプーク
関連記事リンク:ヘドン(HEDDON) ラッキー13(Lucky13)

グリップがコルクの異型デザインになっている。





他に同様の異型ハンドルのバスプロショップス、オリジナルロッドを何本か持っていますが、通常の丸型グリップと比較するとハイトの高いリールでもグリップし易い気がします。

私は以前、スピードスティックを愛用していたので、チャンピオン系の極端にオフセットさせたタイプよりは富士のグリップに近い使用感なのも相性が良いのかも知れません。



勿論、断面が丸いグリップのロッドでも普通にABUの5000番クラスは使えますが。

自重は100g前後でしょうか?
一般的な金属製オフセットグリップだけ(ブランク含まず)でも100gを切っている物は無いと思うので、驚異的な軽さ。



体力の落ちて来ているおっさん的には、これを使った後でグラスロッドを使えって言われるのは罰ゲーム以外の何ものでもありません。

ロッドが軽い事によって、キャスティングの精度も向上するし、アクションも付け易くなる、何より体力的な負担が激減するので集中力が持続します。

トップの釣りに限らないけれど、集中力が落ちて漫然と釣りをしても面白く無いからね。

フェンウイックだと、その昔に銘竿と言われたランカースティックって言うのがあって、FC60とかFC38が有名でした。
一時期復刻版が販売されていましたな。
ノスタルジックな感傷もあって、ちょっと欲しいなぁとは思ったのですが・・・コレクションにするならともかく、どう考えても実釣で使ったら嫌になってしまいそう。

実際に何度か釣具店で手にしましたが、結局買っていません。

まあ、グラスロッドを使っているのは体力のある若い人が多いのではないかと思いますが、一度腱鞘炎をやっちゃうと癖になりやすいので、思い当たる症状の方は御注意。


  


Posted by KAZU@ at 10:10Comments(0)釣:竿