2012年06月30日
別打 御釼 登録商標 肥後守
仕事場で使っているカッターナイフ、大分くたびれて来ました。
20年も使っているので寿命かな・・・
買い替えようか?と、思ったのですが、そう言えばアレがあったな。
工具箱から引っ張り出してきました。
肥後守(ひごのかみ)です。

参考リンク:wikipedia 肥後守
ブログのカテゴリー上『キャンプ:食』としましたが料理には適していません。
金属板をU字に曲げた鞘の中に日本刀を思わせる上反りした鋼の刃がリベットで止めてあります。
ロック機構は無く、チキリと呼ばれる刃から飛び出した突起を親指で押して刃をオープン。

そのままチキリを指で抑えて刃を固定すると言う、究極のワンハンド、オープン/クローズ機構。

フォールディングナイフと考えると驚異的な薄さで、筆箱に入れても邪魔にならない。

昭和30年代の小学生には鉛筆削りに必須の道具として、一人一個は持っていたので夥しい数が流通。
もっとも私が小学生位の頃には鉛筆を削るには鉛筆削り器がありましたし、小学生高学年になるとシャープペンシルが出回っていたので個人的には鉛筆削りに使う事はあまり無かったのですが、もっぱら工作用として愛用。
当時は近所の模型店に行くと、ライトプレーンと言う、竹と紙で機体を作り、プラスチックのプロペラをゴム動力で回転させて飛ばす飛行機の組み立てキットが売っていました。
竹ひごを肥後守で切断し、皮の部分を外側にしてロウソクの炎で焦がさないように炙ります。
柔らかくなった処でじんわりと力を加えてU字型に曲げて行きます。
竹ひごを接続するのはニューム管。
アルミニウムの細い管に肥後守で傷を付け、既定の角度に曲げる。
骨組みが出来たら紙で翼を張ってプロペラを取り付け。
ゴムにはグリスをタップリ塗る。
せっかく作っても、風に煽られて高い木に引っ掛かっちゃったりするんですが・・・そもそも現在だと模型飛行機を飛ばせる空き地が無いか。
こんなのを作りながら刃物の基本的な操作やロウソクの使い方を覚た訳ですよ。
広いキャンプ場なら飛ばす場所にも困らないと思うのだが、キャンプ場でもTVゲームを手放さない今時の子供には受けが悪いか・・・
私よりもう少し年配の方々だと、竹トンボなんかを自作されていたんでしょうな。
こいつは小学生の時に購入した物の最期の1本か、後年購入した物か覚えていないのですが、いずれにしても数十年前の物。
肥後守は熱心なコレクターの方々がいるようで、ネット上では様々な情報が公開されています。
握りの右面に刻印されている、『別打 御釼 登録商標 肥後守』を元にネット検索すると数件ヒット、最近作られたものは『別打』が右から左では無く、現代風に左から右に刻印されているみたいです。

鞘は鉄、表面は梨地のメッキ。

全長170mm、鞘長98mm、刃長74mm、刃巾14mm、刃厚2mm。

チキリは潰して広げてあり、指で抑え易くなっています。

リベットのカシメには左右にワッシャー入り。

ネット上から得た付け焼刃の知識ですが、チキリが潰してあり、ワッシャーが入っているのは結構丁寧な造りとか・・・
鞘尻には穴が開いていて、タコ糸や独楽の紐を通す事ができる。

もっとも閉めた時のロック機構が無いので、首からぶら下げたりはしないで鞘に紐を巻き付けて開き止めにしてポケットに入れた方が安全。
鞘には半円を3つ並べたような切り欠きがあるので、持ち運ぶ場合はここを輪ゴムで縛ると不用意に刃が出ない。

しばらく使っていなかったので、刃には錆が浮いています。

先端は丸まり、小さな刃こぼれも・・・

刃面も傷だらけなので、取敢えず砥ぎます。

関連記事リンク:キングホーム砥石K-45
ザックリと錆を落として、ベタ砥ぎ。

錆が落ちると、鋼の合わせ線が出て来ました。

以前御紹介したコールドスチールのマスターハンターでサンマイと言う合わせ鋼の説明をしましたが、刃の中心の硬度の有る鋼を粘りのある軟鉄でサンドイッチして、切れ味と折れ難さを両立した鋼材です。
関係記事リンク:コールドスチール マスターハンター
廉価な肥後守だと炭素鋼を打ち抜いただけの物もあるようですが、こいつは案外しっかりした個体です。
切れ味も鋭く、某海外製のブランド物ナイフよりも切れる位だ・・・もっとも炭素鋼なので直ぐに錆るんですけどね。
油を塗って、錆止めをしないと・・・何処かにミシン油(死語?)が仕舞ってあったかな?
せっかくなので鉛筆でも削ってみようかな?と、思ったのだが鉛筆が一本も見つからなかった・・・最近は鉛筆処かシャープペンを使う事も少なくなったからなぁ・・・
それでは輪ゴム鉄砲でも作ってみますか。

用意するものは割り箸5本(写真では4本になっています)、輪ゴム少々、肥後守。

割り箸の先端に肥後守でV字の切り欠きを作ります。

割り箸は脆くて割れ易い素材・・・良く切れる刃物と微妙な指先の力加減が必要です。
切り欠きを作った割り箸を、銃口側に水平方向に配置、無加工の割り箸で写真のように挟んで輪ゴムで固定。

割り箸を長さ6~7cmに切断、端部は斜めに削って引き金を作ります。

引き金をV字の切り欠きを作った割り箸の後ろに挟み込み、輪ゴムで固定。

写真のように、斜めに止めるのがキモ。

一本の割り箸を半分に切断。

写真のように三角形に輪ゴムで止めて、握りを作ります。

完成。

それでは遊び方、まずは銃口のV字溝に輪ゴムを引っ掛ける。

輪ゴムを伸ばして引き金に引っ掛ける。

後は狙いを付けて、引き金を引くだけ。

握りの上部は『弾倉』になります。

数十年振りに作ってみたが、案外覚えているものだ。
それにしても、何時頃誰が考えたのか・・・?
バリエーションとしては銃身を横に2本、引き金も2本横に増やして連発銃なんてのもありましたな。
的は当然マッチ箱。

もっともマッチが既に絶滅危惧種になっていて、自宅にも殆ど残っていなかった。

このマッチはワカサギの穴釣りに行った時に宿泊した榛名湖湖畔のホテルのマッチですな・・・温暖化による結氷不良、昨年の放射能問題で何年も御無沙汰してますが・・・
この記事を御覧のお父さん、出来ればキャンプ場ではお子さんに刃物の使い方と一緒にマッチの使い方も教えてあげて下さい。
風が強い時には数本束ねて使うとか、湿気らない蝋マッチの作り方とか・・・えっ?蝋マッチを知らない???
まあ、そんな事が将来何の役に立つかって言われると微妙ですけどねぇ。
ちなみにこの記事を御覧になって、お子さんに肥後守を買い与えようと思う方もいるかも知れませんが、初めて子供に使わせる刃物として、肥後守はあまり適しているとは思えません。
私の子供の頃は他に選択肢が無かったので使っていた訳ですが、現在の基準ではロック機構が無い特殊な構造なので入門用と言うよりは熟練者用の刃物と考えた方が良いでしょう。
個人的には刃物の基本的な使い方を覚えるナイフとしては、あまりブレードが短すぎるのは汎用性に欠けるので3インチ(7.5cm)以上、両手の操作を習慣付ける為にネイルマーク式、怪我をし難いオーソドックスなバックロックが良いんじゃないかと思います。
バックで例えれば、子供用だと110は大き過ぎるんで112クラスですかね?
関連リンク:バック フォールディングハンター
高価なナイフである必要は無いですが、最初の一振りだからこそ、一生使えるしっかりした造りの物が良いかと。
それに、もしもお子さんに最初のナイフを渡すとしたら、新品を買い与えるんじゃなくて、御自分が普段使っている中から、『これなら』と思える一振りを譲られるのが良いのではないでしょうか?
親御さんが大切に使っていた物を譲られれば、お子さんも大事に使うと思うのですが。
数十年後、成長したお子さんがお孫さんに『これはお前のおじいちゃんから貰ったナイフだ、今日からお前が使いなさい』みたいな事も有り得ますが・・・数十年使える品質のナイフを見抜く眼力と、何よりお子さんに長期間使用できるメンテナンス技術を伝承するのは並大抵ではないでしょうねぇ・・・
20年も使っているので寿命かな・・・
買い替えようか?と、思ったのですが、そう言えばアレがあったな。
工具箱から引っ張り出してきました。
肥後守(ひごのかみ)です。
参考リンク:wikipedia 肥後守
ブログのカテゴリー上『キャンプ:食』としましたが料理には適していません。
金属板をU字に曲げた鞘の中に日本刀を思わせる上反りした鋼の刃がリベットで止めてあります。
ロック機構は無く、チキリと呼ばれる刃から飛び出した突起を親指で押して刃をオープン。
そのままチキリを指で抑えて刃を固定すると言う、究極のワンハンド、オープン/クローズ機構。
フォールディングナイフと考えると驚異的な薄さで、筆箱に入れても邪魔にならない。
昭和30年代の小学生には鉛筆削りに必須の道具として、一人一個は持っていたので夥しい数が流通。
もっとも私が小学生位の頃には鉛筆を削るには鉛筆削り器がありましたし、小学生高学年になるとシャープペンシルが出回っていたので個人的には鉛筆削りに使う事はあまり無かったのですが、もっぱら工作用として愛用。
当時は近所の模型店に行くと、ライトプレーンと言う、竹と紙で機体を作り、プラスチックのプロペラをゴム動力で回転させて飛ばす飛行機の組み立てキットが売っていました。
竹ひごを肥後守で切断し、皮の部分を外側にしてロウソクの炎で焦がさないように炙ります。
柔らかくなった処でじんわりと力を加えてU字型に曲げて行きます。
竹ひごを接続するのはニューム管。
アルミニウムの細い管に肥後守で傷を付け、既定の角度に曲げる。
骨組みが出来たら紙で翼を張ってプロペラを取り付け。
ゴムにはグリスをタップリ塗る。
せっかく作っても、風に煽られて高い木に引っ掛かっちゃったりするんですが・・・そもそも現在だと模型飛行機を飛ばせる空き地が無いか。
こんなのを作りながら刃物の基本的な操作やロウソクの使い方を覚た訳ですよ。
広いキャンプ場なら飛ばす場所にも困らないと思うのだが、キャンプ場でもTVゲームを手放さない今時の子供には受けが悪いか・・・
私よりもう少し年配の方々だと、竹トンボなんかを自作されていたんでしょうな。
こいつは小学生の時に購入した物の最期の1本か、後年購入した物か覚えていないのですが、いずれにしても数十年前の物。
肥後守は熱心なコレクターの方々がいるようで、ネット上では様々な情報が公開されています。
握りの右面に刻印されている、『別打 御釼 登録商標 肥後守』を元にネット検索すると数件ヒット、最近作られたものは『別打』が右から左では無く、現代風に左から右に刻印されているみたいです。
鞘は鉄、表面は梨地のメッキ。
全長170mm、鞘長98mm、刃長74mm、刃巾14mm、刃厚2mm。
チキリは潰して広げてあり、指で抑え易くなっています。
リベットのカシメには左右にワッシャー入り。
ネット上から得た付け焼刃の知識ですが、チキリが潰してあり、ワッシャーが入っているのは結構丁寧な造りとか・・・
鞘尻には穴が開いていて、タコ糸や独楽の紐を通す事ができる。
もっとも閉めた時のロック機構が無いので、首からぶら下げたりはしないで鞘に紐を巻き付けて開き止めにしてポケットに入れた方が安全。
鞘には半円を3つ並べたような切り欠きがあるので、持ち運ぶ場合はここを輪ゴムで縛ると不用意に刃が出ない。
しばらく使っていなかったので、刃には錆が浮いています。
先端は丸まり、小さな刃こぼれも・・・
刃面も傷だらけなので、取敢えず砥ぎます。
関連記事リンク:キングホーム砥石K-45
ザックリと錆を落として、ベタ砥ぎ。
錆が落ちると、鋼の合わせ線が出て来ました。
以前御紹介したコールドスチールのマスターハンターでサンマイと言う合わせ鋼の説明をしましたが、刃の中心の硬度の有る鋼を粘りのある軟鉄でサンドイッチして、切れ味と折れ難さを両立した鋼材です。
関係記事リンク:コールドスチール マスターハンター
廉価な肥後守だと炭素鋼を打ち抜いただけの物もあるようですが、こいつは案外しっかりした個体です。
切れ味も鋭く、某海外製のブランド物ナイフよりも切れる位だ・・・もっとも炭素鋼なので直ぐに錆るんですけどね。
油を塗って、錆止めをしないと・・・何処かにミシン油(死語?)が仕舞ってあったかな?
せっかくなので鉛筆でも削ってみようかな?と、思ったのだが鉛筆が一本も見つからなかった・・・最近は鉛筆処かシャープペンを使う事も少なくなったからなぁ・・・
それでは輪ゴム鉄砲でも作ってみますか。
用意するものは割り箸5本(写真では4本になっています)、輪ゴム少々、肥後守。
割り箸の先端に肥後守でV字の切り欠きを作ります。
割り箸は脆くて割れ易い素材・・・良く切れる刃物と微妙な指先の力加減が必要です。
切り欠きを作った割り箸を、銃口側に水平方向に配置、無加工の割り箸で写真のように挟んで輪ゴムで固定。
割り箸を長さ6~7cmに切断、端部は斜めに削って引き金を作ります。
引き金をV字の切り欠きを作った割り箸の後ろに挟み込み、輪ゴムで固定。
写真のように、斜めに止めるのがキモ。
一本の割り箸を半分に切断。
写真のように三角形に輪ゴムで止めて、握りを作ります。
完成。
それでは遊び方、まずは銃口のV字溝に輪ゴムを引っ掛ける。
輪ゴムを伸ばして引き金に引っ掛ける。
後は狙いを付けて、引き金を引くだけ。
握りの上部は『弾倉』になります。
数十年振りに作ってみたが、案外覚えているものだ。
それにしても、何時頃誰が考えたのか・・・?
バリエーションとしては銃身を横に2本、引き金も2本横に増やして連発銃なんてのもありましたな。
的は当然マッチ箱。
もっともマッチが既に絶滅危惧種になっていて、自宅にも殆ど残っていなかった。
このマッチはワカサギの穴釣りに行った時に宿泊した榛名湖湖畔のホテルのマッチですな・・・温暖化による結氷不良、昨年の放射能問題で何年も御無沙汰してますが・・・
この記事を御覧のお父さん、出来ればキャンプ場ではお子さんに刃物の使い方と一緒にマッチの使い方も教えてあげて下さい。
風が強い時には数本束ねて使うとか、湿気らない蝋マッチの作り方とか・・・えっ?蝋マッチを知らない???
まあ、そんな事が将来何の役に立つかって言われると微妙ですけどねぇ。
ちなみにこの記事を御覧になって、お子さんに肥後守を買い与えようと思う方もいるかも知れませんが、初めて子供に使わせる刃物として、肥後守はあまり適しているとは思えません。
私の子供の頃は他に選択肢が無かったので使っていた訳ですが、現在の基準ではロック機構が無い特殊な構造なので入門用と言うよりは熟練者用の刃物と考えた方が良いでしょう。
個人的には刃物の基本的な使い方を覚えるナイフとしては、あまりブレードが短すぎるのは汎用性に欠けるので3インチ(7.5cm)以上、両手の操作を習慣付ける為にネイルマーク式、怪我をし難いオーソドックスなバックロックが良いんじゃないかと思います。
バックで例えれば、子供用だと110は大き過ぎるんで112クラスですかね?
関連リンク:バック フォールディングハンター
高価なナイフである必要は無いですが、最初の一振りだからこそ、一生使えるしっかりした造りの物が良いかと。
それに、もしもお子さんに最初のナイフを渡すとしたら、新品を買い与えるんじゃなくて、御自分が普段使っている中から、『これなら』と思える一振りを譲られるのが良いのではないでしょうか?
親御さんが大切に使っていた物を譲られれば、お子さんも大事に使うと思うのですが。
数十年後、成長したお子さんがお孫さんに『これはお前のおじいちゃんから貰ったナイフだ、今日からお前が使いなさい』みたいな事も有り得ますが・・・数十年使える品質のナイフを見抜く眼力と、何よりお子さんに長期間使用できるメンテナンス技術を伝承するのは並大抵ではないでしょうねぇ・・・
Posted by KAZU@ at 10:10│Comments(0)
│キャンプ:食
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